1 ヒアリング要旨【1】芦屋〜西淀川
■地域の概況
◇尼崎西宮芦屋港の概況
・尼崎港管理事務所の管轄範囲は芦屋市、西宮市、尼崎市の臨海郡。直線距離で約10km、海岸線で約45km。
・基本的に第一防潮ラインは公が管理。ドルフィン(企業専用の船が着く所)は民が管理。
・平成2年、県では「リフレッシュポートあまがさき」計画を立案。平成10年6月12日には、運輸省から「エコポートモデル港」に指定された。指定を受けることにより、「リフレッシュポートあまがさき」計画を実現しやすくなる。
・漁業活動が少ないので、海面の自由度が高い。
◇芦屋市の概況
・隣接する神戸市や西宮市と比べ、工場がほとんどなく環境が良い。
・現在の推計人口は約77,000人。高齢化等の影響で以前より減少している。住民の移動が少なく、成熟した町。
・当初の土地利用計画は、震災で一時凍結。震災後は、住宅・市街地および福祉・教育文化の復興に最も重点を置き、財源も重点的にその目的に対して使われてきた。
・市内の仮設住宅(一部民有地を含む)の入居者は、すでに全員新しい入居先へ移転。仮設住宅は撤去済みである。現在は市の財政状況が厳しいこともあるが、撤去後の整備は一部を除いてほぼ完了する。
◇尼崎市の概況
・国道43号以南のほとんどは昔、遠浅の海岸で、新田開発などによる埋立地を近年工業用地に転換した。臨海部の大半は企業の民有地と港湾施設で、護岸は専用埠頭として使われている。現在、産業転換などで、新たな土地利用も検討されている。水際線は全体で約20km。
◇西淀川区の概況
・西淀川区内の海岸線は、大阪府下で唯一港湾区域には含まれていない地域。「港湾ではない海辺」という認識。
・区内を、中島川、左門殿川、神崎川、西島川、淀川の5本の川が横断する。
・区内全域は、海、川よりも土地が低い。護岸に囲まれてこそ、存在できるエリア。
・明治〜昭和の初期にかけ、近代工業が集中し、一大工業地帯を形成。のちに深刻な公害問題を発生させたが、いち早く発生源対策を推進したおかげで、環境は回復している。
■ハード整備(護岸と土地利用)
◇整備事業と管轄
・リフレッシュポートあまがさき計画…運輸省第三港湾建設局、兵庫県土本部・エコポートモデル事業…運輸省第三港湾建設局、兵庫県土本郡・尼崎臨海西部拠点開発事業…兵庫県企業庁、尼崎市
・南芦屋浜地区の街づくり…兵庫県企業庁開発課、芦屋市
(1)芦屋地区
◇南芦屋浜地区
・市営・県営等の震災復興住宅ができ、護岸工事は全域で完成。
・南西部に港湾緑地計画予定(港湾計画上は護岸を含み6ha)。
●南声屋浜地区の街づくり
・海に親しみアメニティに富んだ新しい都市空間を目標とする。震災後はこの計画理念に防災・福祉への配慮が追加された。
・昭和42年に港湾審議会が埋立を承認、昭和46年6月に埋立免許を取得して12月末から工事に着工した。昭和52年8月、オイルショックの影響で工事は約10年間中断。昭和63年、工事再開。平成8年1月に埋立地の基本計画を策定。平成9年2周に住宅、マリーナ、商業施設の整備を行う民間業者をコンペ形式で募集。平成9年9月、応募してきた2つの企業連合体(JV)のうち、三菱地所・三井不動産・阪神電気鉄道グループが提案したマリーナ・コンプレックスを含む街づくり計画が採択され、同グループが事業予定者に決定した。この提案を基に、平成10年12月には事業計画(マリーナ部分除く)が策定された。
地区全体の護岸整備はすでに終了。(埋立竣功は平成9年1月)
・現状…全体で125.6ha。埋立地の周囲は親水性のある護岸の整備が完了。震災復興住宅(県営・市営)は平成10年3月から入居が始まった。残りの街づくり(マリーナ部分も含む)の整備には、民間活力を導入する。
・護岸とその周辺の人工海浜、道路、緑地など公的ゾーンは、県企業庁が整備。ただし、街づくりの整備に合わせると時間がかかるので、先行して整備を実施していく方針。
・コンペ区域外
a.住宅地…当初は、地区全体で2,000戸供給(居住人口約6,000人)の予定だったが、震災後、業務・研究用地の一部を住宅用地に転換し、1,000戸を追加した。2,000戸分はコンペ区域として整備。復興住宅は、市営400戸、県営414戸、県住宅公社203戸の計1,017戸。市営・県営住宅は平成10年3月より入居開始。東側に隣接するマリナージュ芦屋は、県の住宅供給公社が分譲する高層住宅。安藤忠雄建築研究所設計。203戸。平成10年9月に新聞広告で第一次入居者募集を行った。
b.総合公園…10haが都市計画決定されている。
c.人工海浜…昔の芦屋浜の「白砂青松」のイメージを復元する。現在は護岸整備が終了した状態。景観を損ねないよう、潜堤(水面に出ない堤防)によって