バス内説明「城北わんど群について」
河合典彦氏/淀川河川環境保全モニター
●わんどのなりたちと重要性
・淀川にみられるわんどの多くは、かつて川蒸気船の航路を確保するために行われた水制工に土砂が堆積して形成された。
・本流には見られない多様な生物の生息環境があり、多くの種類の魚にとって都合のいい生育場所になっている。
●水位の安定による影響
・治水・利水目的で行われた本流の拡幅と河床の掘削、淀川大堰による水位調節は水位の安定をもたらした。またそれにともなってわんどの水深も深くなり、浅瀬を好む生物にとっても棲みにくい環境になっている。これらは淀川に棲む多くの生物にとって一番大きな問題点である。
・人に影響を及ぼさない程度の小さな洪水を起こすなど、川の水による適度な撹乱は生態系の維持にとって必要である。
●ゴミの問題
・建設省淀川工事事務所は、城北わんど群全域の総合調査を今年初めて行った。ゴミの調査では、底から1m2あたり空き缶が66個もでてきたところがあった。その他、大量のポリ袋やバイクなども見られた。花火大会の折、夜店から多量の廃油が投棄されたこともあった。
城北わんど群の視察
説明:河合氏
・菅原城北大橋上より下流のわんど群を眺めると共に、実際にわんどの水際を歩き、視察を行った。
ウォーキング
●大野川緑陰道路
説明:村上敬雄氏/西淀川区役所 主幹
・淀川堤防寄りの大野川緑陰道路にて説明を受けた。
・自転車専用道路を青色塗装、歩行者道に黄色塗装を施され、歩行者道路には、ランニングコースとして100mごとに標識が打ち込まれている。また、低木12万本、高木1万本、約30種類の薬草などが植栽されている。
●矢倉海岸
説明:中島良悟氏/環境事業団大阪事務所 所長
・株式会社クボタの協力により、同社敷地より矢倉海岸のウォーキングを行った。
・海岸沿い約700mを歩き先端部へ。そこから造成中の矢倉緑地予定地に上り、淀川河口部の大阪湾を眺めながら現地説明を受けた。
●ホテイアオイの異常繁殖
・今夏の後半からホテイアオイが異常繁殖し、わんどの水面を半分以上覆ってしまった。ホテイアオイは、特に窒素やリンを吸収するので水質改善のために入れることはあるが、枯れて分解されると全部元に戻ってしまう。現在、淀川工事事務所によって除去作業が進められている。
●外来種の問題
・現在淀川では外来種(海外からの移入種)が増え、生態系への影響が懸念されている。ブラックバス、ブルーギル、カダヤシ等は在来の魚の生息を圧迫していると思われる。
●イタセンパラ
・国の天然記念物であるイタセンパラ(コイ科の淡水魚)は、平成7年、環境庁が国内希少野生動植物種に指定した。イタセンパラにとって淀川のわんどは最後の聖域となっている。