●私たちの市民運動の特徴
私たちの市民運動には、規約も会費もありません。事務局はつくりましたが、「協力してくれる方は、みんな会員」というスタイルで進めてきました。市民運動というと、行政の欠点をとらえて、けんか腰で衝突するイメージがあると思いますが、私たちは最初からそういう方法はとらない方針でした。
例えば、瀬戸内海環境会議での討論の中で「行政の方法は信頼できない。私たちで有識者を集めて、対抗案をつくらなければならない」という意見が出たことがありました。しかし、行政は私たちの税金で成立しているものです。しかもそれぞれの方はその分野ではエキスパートです。それを敵に回して別のグループをつくるのはエネルギーの損失です。ただし、行政には縦割り組織など、欠点があります。一方、私たち住民は自由な立場にいるので、トータルでものを考えることができます。そういう立場から、行政に積極的な提言をして、納得していただいた上で一緒にやっていく方向をとりたいと考えていました。大野川緑陰道路の時も矢倉海岸の緑地計画の時も、この方法をとり、現地視察も大阪市の花と緑の推進本部の方や下水道局の方と一緒に行いました。たいへん時間がかかりましたが、これが私たちの市民運動の方法です。
4年ほど前、建設大臣官房付きの技官、関氏が書かれた「大地の河」という本があります。その本に書かれている考え方は、私たちと同じでした。去年の末、河川法が改正され、治水と利水だけでなく環境保全や住民参加が認められるようになりました。
阪神大地震の後、淀川の伝法大橋から下流1.7kmには素晴しい親水性の護岸が復活されています。この護岸が矢倉海岸までつながれば、約3kmになります。このような整備を建設省の事業あるいは市の事業と分けることなく、川全体の整備としてとらえ、全国に自慢できる淀川にして欲しいと考えています。
●質疑応答
【質問】矢倉海岸整備と環境事業団との関係は、どうなっているのでしようか。
【回答】行政間の形だけの問題で、整備の手順に特に大きな変化があったということではありません。市だけでは整備のための資金が足りないので、いったん環境事業団が事業を行い、完成した後に再び市に返すことになっています。
淀川の河川整備について
説明:大沼克弘氏/近畿地方建設局淀川工事事務所 調査課長
・淀川の河川整備の状況について河川改修事業、スーパー堤防整備事業の内容を中心に説明を受けた。
・また、200年に一度の大洪水を想定し、堤防の破壊によって淀川が氾濫した際の大阪をシミュレーションしたビデオを鑑賞した。
●質疑応答
【質問】土砂対策はどうなっているのでしようか。
【回答】実際に航路を確保するためには、ある程度の水深が必要となる。河川の流化能力を高めるために既に浚渫しているところもあるが、浚渫後もまた土砂が流れてきて結局埋ってしまうという問題がある。流化能力の向上と水深の確保の具体的なプランは今後考えていく予定。
【質問】流域の水防団の方たちの高齢化が大きな問題となっている。河川区域で商店などを持てれば、若い人たちの参加も可能だと思うが、それは可能でしょうか。
【回答】河川区域内は悪天候の際には洪水となる危険性があるので、堅固な建物はつくれない規則になっている。従って店舗も出せない。水防団の高齢化は、行政機関としても重大な問題と認識しているが、どうすれば若い人を魅きつけれるかについては、まだ具体的なプランはない。
淀川資料館見学
・1998年4月にリニュアル・オープンした淀川資料館を自由見学、館長より説明を受けた。