このような人口減少は、出生数の減少、若者を中心とする生きがい転出を意味するものであり、平均余命の長期化と相まって、地域社会の高齢化の進展が表面化する。すなわち、呉市の65歳以上高齢者の比率は平成7年に18.4%であり、全国平均の14.5%を上回る水準にまで高齢化が進行している。
なお、このような人口面での抱える問題点は、地方拠点都市地域でみた場合も同様であり、より増幅されて表面化してきている。
(2) 産業集積と全県的な位置づけ
呉市の従業者数は平成8年に10.5万人であり(地方拠点地域では12.6万人)、全県に占めるシェアは7.2%(地方拠点地域では8.7%)である。そして、呉市の従業者数は、地方拠点地域の83.1%を占め、人口のシェア68.7%を大幅に上回っており、圏域人口に対する就業の場の提供という点で重要な役割を果たしている。
ちなみに、呉市を中心とする通勤流動をみると、他地域から呉市に流入してくる通勤者は約2万人であり、その約半数が周辺12町からである。そして、呉市民が通勤に際して市域外に出る人数は1.8万人であり、そのうち最も多いのは、広島市であり9千人と全体の半数になっている。結果として、流入人口と流出人口の格差、昼夜間人口の格差がほとんどない状況となっている(図表1-4)。