こうした動向には、市町村の自治や地方分権に反するという批判があることは否めない。しかし逆に、財政力に乏しい市町村からすれば、緊急避難ともいえる。いずれの町も財政力が弱い大崎上島3町においても、その実施体制についての決断を迫られるものと思われる。
2] サービス・支援の公平性・客観性
「限りある財源」、「産業経済の低迷」といった言葉を心底実感せざるをえない今日、状況打開の一つの方向が上述の広域連携であることはいうまでもない。そして、同時に、「公的にまず支援すべきは誰か」、「公的にまず整備・充実を図ったり、支援すべき領域は何か」といったことについて、まず、各町でそれぞれの住民との合意を強固にすることが求められる。この合意形成、すなわち「サービス.支援の公平性・客観性」についての合意を踏まえつつ、3町の連携・共同による取組がなされることが望ましい。
イ 重点的取組の必要な領域と理由
前述した地域の現状や新たな取組を必要とする基本的方向などを踏まえながら、大崎上島3町が連携して今後取り組むことが望ましい領域は、以下のとおりである。
(ア) 「元気な高齢者」の生きがい・社会参加の充実
高齢者の生きがい・社会参加促進に向けては、後出の地域産業の活性化による新規雇用機会の拡大プロジェクトで提案される働く機会の豊富化を図ることも重要であるが、さらに、次のことへの取組も欠くことができない。すなわち、さまざまな住民間の、また、各町の高齢者間の集い・交流などの機会の充実、学習・趣味などの活動への高齢者の積極的参加の仕掛けづくりなどの面についても、今後、取組を強化する必要がある。
(イ) 要援護・要介護状況にある高齢者への支援
今後の高齢社会においては、元気な高齢者が他の世代とともに、地域福祉活動を積極的に支えていくことをますます求められるようになるであろう。そして、その活動の活発化への支援を充実していくためには、3町それぞれで地域福祉活動の核としての役割を担っている社会福祉協議会(以下、「社協」という)の連携を促進する必要がある。