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そして、その取組においては、高齢社会イコール高齢者対応とのみとらえることなく、島の総人口での高齢者の比率が今後も増加することについて、総合的・体系的にアプローチする視点を堅持することが大切である。つまり、島の資源を前提としつつも、島外のそれにも目を配りつつ、後述の地域産業の活性化、島の豊かさや魅力の創出など、高齢社会状況のもとでの島づくりに関わるさまざまな課題についての多角的取組を欠くことができない。以上のような視点でさまざまな取組がなされてこそ、高齢者にとってもより魅力的な島になるといえよう。

 

(イ) 住民生活支援の基本方向

 

今後とも高齢化の進行が見込まれるとともに、厳しい財政事情からの抜け道がただちにはみつかりそうもない状況のもと、住民生活向上に関わるサービスの質の充実と供給の効率性を追求するためには、「広域連携」と「サービス提供・支援の公平性・客観性」、この二つのことに目を向ける必要がある。

 

1] 広域連携

広域連携については、本調査研究のテーマそのものであるので、すでに、第2章において他地域の事例をおりまぜながらその必要性を述べたところである。高齢者の魅力的な定住条件整備という本項のテーマからは、まずそれぞれの町ごとの施策展開や住民相互の支え合い・助け合い、3町連携・共同事業による公私の支援、この二つのバランスや分担をどう考えるかについて、十分に検討される必要があろう。

高齢者のみならずすべての住民にとって魅力的な定住条件を整備していくためには、身近な近隣社会でのサービス提供や支え合い・助け合いによるきめ細かな対応を欠くことができない。また、同時に、先に紹介した「要介護者一元管理」に関わる情報システムの構築、各種入所・適所施設の確保、各種公的施設の相互利用など、サービスの提供や住民活動への支援のための基盤・施設づくりについては、広域連携つまり3町の連携により整えるほうが効率的であるし、質的充実も期しやすい。すなわち、在宅及び地域での対応は各町ごとに、サービス提供事業者の確保や情報化への対応など基盤・施設面は3町で、ということになろう。

なお、きめ細かいサービス提供という視点からでなく、もっぱら負担の軽減をねらって、来年4月からの介護保険制度を共同で実施することを目的とし、「広域連合」を設立する動きが広まっている(本年1月22日の毎日新聞によれば介護保険のための連合は計画中のものも含めると36)。

 

 

 

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