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そうした住民間の交流の少なさが、「町民」としての意識はあっても「島民」としての意識はない今日の大崎上島の状況を生みだした大きな要因であることは否めない。したがって、個々の町ごとの魅力や個性に磨きをかけるためにも、「○○町民であるとともに大崎上島の島民である」という意識の醸成や定着に力を入れていく必要がある。

生活の豊かさを再建する文化・教育サービス充実プロジェクトは、さまざまな住民・団体などの交流や共同活動などの機会を増やし、島民意識の涵養と交流のためのシステム整備を目的とする。

 

(エ) 魅力ある島の環境形成と交通基盤整備プロジェクト

 

大崎上島の地域振興方策の一つとして、地域資源を活用しつつ都市部住民との交流を通して地域の活性化を図るものとしている。来島者は、大崎上島を一体に捉え、3町別に認識することはなく、また、3町職員への今回の調査結果でも島民は他地域での自己紹介の際には、大崎上島の出身としているようであり、対外的には3町一体として認識している。

しかし、大崎上島の地域イメージは、離島としての共通認識はあるものの、まちづくりや環境形成に関しては、必ずしも連携した事業展開が行われているとはいい難く、民間団体での地域イメージ形成活動(エコミュージアム)が先行している状況にある。

同様に、フェリー航路のサービスは、原則、フェリー発着の港を有する町での責任としている。しかし、島の経済は、本土や隣接島との交流を通して成り立ち、一自治体だけの問題に収まらない。今治と尾道を結ぶ「しまなみ海道」の建設に伴い、大三島と大崎上島間での航路サービスの低下が懸念されており、島の経済を維持、活性化していくためには、大崎上島3町での取組が求められる。

魅力ある島の環境形成と交通基盤整備プロジェクトは、大崎上島の優れた環境の形成と本島の経済を担う交通基盤の整備を進めるためのプロジェクトである。

 

 

 

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