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例えば産業分野の事例に取り上げた中国山地県境市町村連絡協議会(県境サミット)でも、域内16市町村に5館しかない公共図書館を有効活用するため、城内の住民であれば城内池市町村の図書館の本でも郵送で借りることができ、しかもその郵送費用も協議会が負担し、住民は返却時の郵送費用のみ負担すれば良いという制度や、インターネットで域内の公共施設の予約ができるシステムなどを設けて、地域住民の利便性を向上させている。

また、兵庫県の西播磨テクノポリス都市連合会議でも、住民ニーズの多様化を受けて、域内のスポーツ・レクリエーション施設、資料館などの文化関連施設、会館・文化センターなどを、原則として自市町以外の域内の市町住民にも同一の利用条件で利用させるといった施策を行っており、これによって圏域住民の利便性の向上や、施設の利用率の向上、施設利用の効率化、域内住民へのサービスの充実化などを目指している。この結果、多いところでは他市町住民の利用が利用者の4割に達している施設も出てきたといい、実際に、利用率は相当向上したものと思われる。

当地城においても図書館を擁するふれあいセンターの整備が決まっているが、今後、同センターを核としつつ、住民の文化体育施設に対する多様なニーズに応えるためにも、他の施設についても連携を模索していくことになろう。

なお、件数は少ないが学校教育に関して町村界を越えた複数の学校が連携して合同授業を行っている例が見られた。集団で学ぶ機会も乏しくなりがちな地域環境においては、一つの試みとして意義深いものと思われる。

 

エ. 保健・福祉分野

 

この分野での有効な連携は、その必要性が唱えられている割には、多くはみられない。ただ、介護保険制度の創設を受けて、単独の町村ではこれに係る事務を全てこなしていくのが困難であることや、隣接町村間でサービスの格差が出るのはまずいという判断から、これに係る連携は増えてきているようである。

高知県の中芸広域連合や北海道の空知中部広域連合など介護保険を契機として、広域連合を設立する例もでてきており、さらに最近では、佐賀県の佐賀中部広域連合や愛知県の知多北部など、比較的人口規模の大きいところでも、こうした動きがみられる。

介護保険関係以外では、乳幼児発達相談指導事務が、地域保健法の改正で県の事務から市町村の事務とされることになったことを契機として、滋賀県の甲西町など7町で構成する甲賀郡行政事務組合で、常勤の心理判定員3人を雇用し、各町の乳幼児相談にあたらせることにした事例などがある。

 

 

 

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