この協議会は、構成町の一つである日南町の町長が、隣接する同じような条件の市町村に呼びかけ、その賛同を得て組織されたものであり、組織としては、任意の協議会に過ぎない。
だが、その効果は極めて大きいといえよう。例えば、通常、道の駅などで特産品を販売する場合でも、単独の町村ではなかなか品数が集まらないが、16市町村が連携することで、域内の市町村の産品だけで、道の駅の全売場を埋められるだけの産品が集められたという。また、ホームページの開設・維持一つとっても、なかなか規模の小さい町村では単独では難しいし、また、アクセスの件数も限られてしまうが、これも16市町村が連携することで、情報発信力が格段に高まったという。また、広域観光ルートの創設を共同で呼びかけたことなどが、この圏域のサポーターとでも呼ぶべき人々を域外からも発掘することに成功しており、この圏域のファンクラブである「エメラルド倶楽部」という組織もできている。
この協議会の課題としては以下のような点が指摘されている。例えば、協議会の事務局は、協議会の設立以来、最初に呼びかけた日南町の役場内にあり、町の職員が兼任で事務をこなしており、構成市町村の負担が公平になってはいない。ただし日南町では、他市町村に比べて過大な負担を強いられながらも、その負担を上回るメリットを享受できているからこそ、町長が交替して後も事務局を担当し続けているのであろう。
一方、観光以外の連携事例は多くはない。しかもその多くが、一次産品の加工支援による特産品の開発や特産品の販売など、観光の周辺的な領域である。その反面、鉱工業に係る連携の事例は全くみられず、著しい対称をなした。鉱工業には多額の投資が必要であるため、市町村が容易には踏み込めない分野であることも影響しているものと思われる。
ウ. 教育・文化分野
この分野の連携で圧倒的に多いのが、文化体育施設の共同利用に係る事例である。財政力の乏しい町村が単独で文化体育施設をフルセット整備することは困難であるが、他方で、住民のこうした施設に対するニーズにも応えなければならないため、連携が模索されるのであろう。