第4章 遠州鉄道の天竜浜名湖線乗り入れ計画
遠州鉄道の天竜浜名湖鉄道への乗り入れについては、これまで天竜市及び遠州鉄道を中心に可能性について様々な検討が行われてきた。これと同時に、実現に向けての当事者間の協議も継続的に行われている。
遠州鉄道の乗り入れの可能性に関わる調査としては、平成4年度に実施された「遠鉄電車天竜二俣駅乗入れ可能性調査」(日本交通技術株式会社調査)があげられる。ここでは、当該調査をもとに、計画の概要をとらえるとともに、現時点における問題点などを整理したい。
1. 計画の概要
「遠鉄電車天竜二俣駅乗入れ可能性調査」報告書においては、遠州鉄道の天竜二俣駅乗り入れに際して、「乗り入れダイヤと信号保安施設」、「天竜二俣駅の乗り入れ施設」、「西鹿島駅連絡施設」、「鳥羽山トンネルの改修」、「天竜川橋梁の補強」、「二俣川橋梁」、「電化設備の新設」の7つの項目について、以下のように検討を行っている。
○ 乗り入れダイヤについての検討結果は、遠州鉄道の全列車乗入れは不可能であるが、物理的にはかなりのダイヤが確保でき、具体的なダイヤは両鉄道事業者間の協議によって決定すべき問題である。
○ この場合、列車の続行運転が、必須の条件となり、天竜二俣駅〜西鹿島駅間に閉塞区間を増設し、信号保安設備の増設と改修が必要である。
○ 天竜二俣駅の乗り入れ施設は、国鉄清算事業団用地の取得が可能であり、着発線・電車留置線、旅客設備の新設は容易である。
○ 西鹿島駅の連絡設備は、遠州鉄道構内の改良を伴うが、既設の設備で対応する場合(第2案)と、将来対策を考慮した設備(第1案)について検討したが、何れも可能性はあり、この乗入れによって電車の留置作業が著しく軽減される。