第7章 練馬区の生ごみ資源化について
1 基本理念
(1) 練馬区の望ましい環境像
練馬区では、平成5年11月に策定した練馬区環境基本計画の中で、本区の望ましい環境像として、「人と環境とのかかわりについての深い認識に支えられ、質の高い環境と環境に配慮した循環型の社会システムが実現しているまち」を「環境保全型都市・練馬」と設定し、次の三つを具体的な環境像として挙げている。
○公害がなく、豊かなみどりと水辺が生かされた、ゆとりある美しいまち
○地球への負荷が少ない暮らしと仕組みのあるまち
○人と人、人と環境との交流が大切にされているまち
(2) 練馬区生ごみ資源化システムの基本理念
練馬区生ごみ資源化システムは、都市農業及び清掃・リサイクル事業をすすめる上で、本区の望ましい環境像を実現するものでなければならない。
都区部の都市化が進行し、次々と農地が失われていく中で、本区は23区の中で最大の経営耕地面積を有している。キャベツをはじめとする野菜や花卉などの生産が盛んに行われ、本区及び近隣自治体の重要な農産物の供給源という役割を果たしている。また、農地のみどりは、近隣の住民に自然の安らぎを与え、生態系の維持、ヒートアイランド化の防止、保水機能など様々な機能を果たしている。本区の環境を考える上で、このような多彩な役割を果たす都市農業を保全していくことは重要である。都市農業を営んでいくためには、有機物や肥料成分を土壌に施して土壌の改良をする必要があるが、現状では都市化が進む中で牛糞、鶏糞、わらなどの有機質の供給が不足している状況にある。生ごみには、有機質はもちろんのこと、農産物の生育に必要な養分が豊富に含まれているので、これをコンポスト化して肥料・堆肥として利用することで、都市農業で不足している有機質を補うことができる。その意味では、生ごみは身近にある有効な資源物として活用することのできる可能性を有している。