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ウ 圏域の中心性の低下に伴う影響の事例

上記アとイの要因によって中心市街地の空洞化が進み直接的な影響が生じるばかりでなく、これらが原因となって中心市街地の魅力が失われて中心都市の中心性が低下することによって圏域人口が減少したり、その立地地域の特徴によってはより広域の大都市園のサブ圏域的な性格を有してしまう事例がある。

 

呉市

呉市は広島県の西南部に位置し、人口20万8,000人である。戦前は軍港として著名であり、軍関係や関係産業により都市規模は大きく、人口は40万人を超えていたが、戦後は減少し、昭和54年の24万人をピークに現在に至っている。

中心商店街には、縦軸(南北)として中通り、本通りの2商店街、横軸(東西)として4商店街の計6商店街(あわせて中央商店街)がある。商店数は525店あり(平成6年)、全市の約16%を占め、販売額では全市の約20%、売り場面積では約23%を占めている。これは昭和57年と比較すると、店舗数以外はすべて減少しており、販売額で8.3%、売り場面積は7.4%減少している。中心商店街の空き店舗は確実に増え、平成9年の調査では37店舗だったものが、10年12月の調査では55店舗になっている。新規で営業を行うものには融資制度などを行っているが応募者は一人もなく、新規参入などは見込めない状況にある。中心部にあったチェーン店など大型店も郊外の幹線道路沿いに移転しており、昔からの間口の狭い商店ばかりになってきている。

呉市の商圏は市内約20万人と周辺町村約7万人からなり、周辺地域からの広域的な商店街として機能している。しかし、年々広島県の小売販売額に占める呉市の割合は低下しており、昭和57年には8.7%だったものが平成9年には7.0%となっている。

中心商店街の問題点は核となる集客施設(百貨店など)がないことである。駅前にそごうがあるが、広島店に比べ売り場面積は半分程度でしかなく、太刀打ちはできない。

しかし、市内には他地域にあるような郊外型大規模店は少なく、いずれも1万m2程度の店舗展開であり、中心商店街の衰退は大型店の影響は少ないと考えられる。商店街連合会加盟の850会員に対し行った商店景況調査(平成10年)によっても、売上減少予想の理由として、「大店舗法の規制緩和」を挙げたものは少ない(4.9%)(1位は「消費活動の低迷」37.0%)。それではなぜ衰退傾向にあるのかということになるが、はっきりした原因はつかめていない。一つには、広島市への集客力が高まったためと思われるが、呉市自体、もしくは周辺町においても音戸町、倉橋町以外、広島市への高い流出割合を示した町はなく、逆に広島市への流出割合が低下しているところもある。また、江田島町、大柿町のように町内に大型スーパーが進出したところは広島、呉双方への買い物害1合が減少しており、自町内での完結と考えられる。いずれにしても、呉市の求心力が落ち、呉市での買い回り品の買い物割合は、呉市自体を含め11市町中8市町で低下している。呉商工会議所ではその原因を、あちらこちらにできた小型スーパーの複合的な影響と個店の魅力の低下であると想定している。

戦前の呉市は大いに栄え、店先にものを置いておけば黙っていても売れたという時代が続いたこ昭和50年代までは商売も良かったが、造船不況以降人口も減少し、それと共に商業も衰退した。しかし、良かったころの意識のままで商売をしている人もおり、時代の流れがわかっていない人も多い。また、後継者も少なく自分一代限りと思っているため、経営意欲も減退している。

呉市では平成10年11月に中心市街地活性化基本計画をまとめ、商工会議所ではそれを受け、TMO構想や中心部の映画館跡地に複合ビル(第3セクター)の建設の検討を進めている。

 

 

 

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