・大型店の影響……マイカル桑名については「売上減少」36.0%、「販売価格の引き下げ」3.5%、計39.5%であり、「変化なし」が59.3%を占めている。他方、アピタ桑名については「売上減少」47.9%、「販売価格の引き下げ」8.2%、計56.1%であるのに対して「変化なし」42.0%となっており、後者の影響予想が大きくなっている。
その後、平成8年7月にもアンケート調査が実施された。ここでは、売上減少の比率は変化はないが、減少幅の大きな店舗が多くなっている。
このような状況に対して、既存商店街では、パルに付随して存立していた一番街(30店舗入居)などで空き店舗が増加する中で、リーダーシップを取る人がいない、商店主が高齢化し投資意欲が低下している、後継者がいない、店舗の商品が年寄りの感覚になってしまっている、などの問題点が表面化し、有効な対策がみえていない状況にある。本格的な対応はこれからであり、TMOの設置が準備されている。
金沢市
金沢市は、人口45万4,000人の北陸地方の中心都市である。市商業の規模(平成9年)は、商店数5,857、従業者数3万1,182人、年間商品販売額6兆7,000億円である。富山市(4,458事業所、2万3,000人、5兆2,000億円)、福井市(3,795事業所、1万9,000人、4兆2,000億円)を上回り、新潟市(5,719事業所、3万2,000人、7兆1,000億円)に匹敵する規模を有している。
商店数は、ピークである平成3年の6,673から、6年には6,299(-5.6%)、9年には5,857(-7.0%)である。これは、平成2〜3年以降、隣接市を含めて売り場面積2〜3万m2の大規模ショッピングセンターが6店舗開店し(7カ所目が現在計画中であり、その次の計画もある)、購買客が流れた影響が出たためである。これは、ショッピングセンターが消費者の支持を受けたと考える必要があり、この動きを止めることは出来ないと考えている。このような傾向を受けて、人口6万4,000人の松任市では、国道沿線に大型小売店を立地させ、そこに市役所や病院を移転させ、新しい町を作るという戦略をとっている。隣接する野々市市も同様の戦略をとっている。
金沢市の小売業売り場面積は、昭和54年には全体で37万3,000m2であり、第1種大規模小売店舗(1,500m2以上)は21店、11万4,000m2でその占める比率は30.5%であった。これが、平成10年には、全体59万m2に対して、25店(3,000m2以上の店舗)、23万9,000m2、40.5%に拡大している。この19年間の売り場面積の増加規模21万6,000m2の内、6割に相当する12万9,000m2は平成3年以降の7年間の増加である。
この19年間で、市の人口は8.5%の増加であるのに対して、売り場面積は57.8%増加している(金沢市からの購買力の流出を狙いとした、周辺都市の大規模店の増加を考えれば、この比率はもっと大きなものになる)。この結果、売り場面積当たりの売上高は、平成3年から6年にかけて11.5%減少している。オーバーストアによる過当競争の状況が生じていることが伺われる。
金沢の商業者は、昭和30年代には元気があったが、現在は再投資しても商売ができるかどうか判らない、後継者に継がせて良いかどうか判らない、新たにここで商売をやりたい人が入ってこない、などの理由で活力が低下している。また、金沢においては、老舗の外商ネットワークは崩れてしまっているこ今後は、やめる人にはやめていってもらって、その後どうするかという議論をしていく必要がある。
金沢市の中心市街地は、浅野川と犀川に挟まれた地域にあって地域的にも限られており、周辺の中小都市と比べて、改造していくのは難しい地域条件を持っている。
金沢の中心市街地(金沢駅前から竪町に至る9つの商店街組合がある)は北陸地方屈指の商業集積として存在してきた(金沢には50の商店街組合があり、36が商店街組合連盟に加入している)。しかし、近年は、郊外への大型店の出店ラッシュに伴い、地盤沈下が著しく、空き地、空