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・潤いと楽しさが欠如していること、

・商店街活性化への取組に対する足並みが乱れしていること、

・商店街活性化へのリーダーの不在、リーダーをサポートするグループが形成されない

・若い感覚の経営ができないこと、

などの様々な問題が表面化し、歩行回遊面での魅力が減退している。

 

以上のような要因が相互に影響し合うことによって中心市街地の空洞化が進み、中心部の商業・業務活動の衰退、地域経済活動の衰退につながっている。そして、このような衰退課程にはいることによって、地域商業者の経営意欲がより一層低下し、その影響はスパイラルにサイクルを描き、地域への影響を拡大していくことになる。

 

(2) 具体的事例の整理

ア 小売業の競争環境変化に伴う影響の事例

上でみたように、中心市街地の空洞化をもたらしている要因のうち、郊外型の大規模商業施設の立地に伴う購買行動の変化によるものは、全国的な規模で影響を与えている。

 

(ア) 小売業の新業態創出の動向

小売業における過去の歴史的な発展の経緯をみると、新業態の創出による消費者の需要創造の動きが特徴となっており、業態を軸とした競争傾向(業態ごとに何を売り物として消費者を引き付けようとしているかが打ち出される傾向)が顕著である。そして、現在全国各地域で生じている中心市街地の衰退は、地域の小売業が大規模店舗の進出を規制する制度に守られ、激しい競争環境下におかれておらず、消費者ニーズの変化に十分に応えるための取組を行ってこなかったことから生じている。

なお、このような新業態創出の流れの中では、大型店と零細小売店の競争力の差を大規模仕入れによる低価格販売力の大きさに求める「低価格遡及戦略」は「商品選択の幅の拡大」、「新しいライアスタイルの提案」、「楽しさの演出」などの種々の戦略と並び、重要性は高いが、あくまでも特徴づけの一つの要素でしかなくなっている。言い換えれば、生活者の消費購買行動は、単に安さばかりではなく、「選択の幅が広がること」、「買い物の選択において様々な新しい商品情報が得られること」などを通した豊かさの実現に向けたものになっている。

しかも、最近では、単に業態内・業態間の競合ばかりでなく、商業集積間・立地間競争の激化が顕著である。

このような経緯を概観すると、以下に示すとおりである。

〇小売業は1950年代の百貨店、スーパーマーケット、専門店を業種構成の中心とする時代から、70年代に入って、大量消費・大衆消費という潮流に応える形で総合ディスカウントストア、DIY・ホームセンター、コンビニエンスストアなどの新しい業態が創生された。その後も、80年代には消費の多様化・個性化に応える形で高級GMS、郊外型専門店チェーン、街づくり発想のアミューズメント機能に重点を置いたショッピングセンターなどへと新業態の展開がなされてきた。

〇そして、90年代に入って、米国からの大店法規制緩和の圧力、輸入製品の急増を通して価格革命が一気に進行した。

 

 

 

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