ロシア連邦における地方自治の財政原則に関する連邦法律
(1997年9月25日公布)
この連邦法律は、地方自治の組織の基本原則を定め、地方自治の財源の形成及び執行の方向の根拠、地方自治体の予算過程の原則及び地方自治機関と財政機構との相互関係、並びに地方自治機関の財政権の保証について定めるものである。
第1章 総則
第1条 [この連邦法律において用いる基本的概念]
この連邦法律では、次の概念は以下のような意味においてこれを用いる。
・予算規制:国家的な最低基準を考慮して実施される地方予算の歳入基盤の平準化のために行なわれる各段階の予算のあいだの歳入配分及び資金再配分の過程
・国家的な最低社会基準:人々のもっとも重要な欲求の充足を保障する社会的保護のための保証についてロシア連邦の法令が定める最低水準
・補助金:地方予算に対して連邦予算及び連邦構成主体[以下、単に構成主体とする-訳者]の予算から予算規制の手続により使途を限定しないで交付される資金
・地方予算:地方自治機関が編成し、承認し、執行する自治体の予算
・地方財産(公庫):地方予算の資金、及び自治体の公有企業または施設の保有しないその他の自治体財産
・地方税及び手数料:地方自治体の代表機関が連邦法律にしたがい独立に定める税金及び手数料
・地方財政:地方的意義を有する問題の解決のために編成され、執行される資金の総体
・最低地方予算:国家的な最低社会基準をなす地方予算の収支額
・自治体有価証券:地方自治機関が発行する公債、住宅入居証書及びその他の有価証券
・調整収入金:連邦税及び地域税並びにその他の支払金。当該会計年度または複数会計年度(3年以上)の地方予算における控除額の基準(比率)は、連邦法律及び構成主体の法律がこれを定める。
・独自収入:連邦法律及び構成主体の法律により、恒常的に全部または部分的に地方予算に対して保障され、またロシア連邦の法令にしたがい地方自治体の代表機関によって導入され、地方予算に組み入れられる、税収または税以外の収入
・社会的標準:住宅・日常生活上の基本的サービス、社会・文化的及びその他のサービスを必要とする住民への現物または金銭による最低保障の指数
・最低予算保障指数:当面の消費支出にともなう自治体の住民一人あたりの最低限必要な需要の計算指数
・相殺資金:国家権力機関の採択した決定の結果生じ、その予算が承認された際には計算できなかった地方予算の収支の変更に関連して地方予算に繰り入れられ、または地方予算から構成主体の予算に移転される資金の総額
・自主納付金:自治体の住民が直接に定める1回限りの自発的な目的税(納付金)
・使途特定補助金:連邦予算、構成主体の予算から自治体に対し具体的目的を定めて一定の期間に交付され、定められた期間内に特定された使途にしたがって使用されなかった場合には対応する予算に返却される資金
・自治体財政援助基金:構成主体の予算において自治体に対する財政援助のために設置され、一定した形で配分される資金
・自治体発注:地方自治機関と地方予算による活動の遂行(サービスの提供)について請け負った組織のあいだの協定
第2条 [地方財政]
1] 地方財政は、地方自治機関に帰属する地方予算、国家及び自治体の有価証券、並びにその他の資金である。
2] 地方財政の編成及び執行は、独立、国家的財政援助及び公開原則にもとづいてこれを行なう。
3] 地方財政に関する所有者の権利は、自治体住民の名において地方自治機関または直接に自治体住民が、自治体の憲章にしたがって、これを行使する。
第3条 [地方財政に関する立法上の原則]
1] 地方財政の編成及び執行は、ロシア連邦憲法、ロシア連邦における地方自治の組織の一般原則に関する連邦法律、本法、その他の連邦法律、構成主体の憲法、憲章及び法律、自治体の憲章、地方自治機関のその他の法令にしたがって、これを行なう。
2] 本法の規定は、すべての自治体に及ぶ。閉鎖された行政区域においては、閉鎖された行政区域に関するロシア連邦の法律に反しないかぎりにおいて、本法が及ぶ。