地方自治と地方行政に関する法律
(ブルガリア官報、1991年、77号。1995年、24号、49号、65号改正:抄訳)
第1章 総論
第1条 この法律は地方自治と地方行政に関する社会関係を規定する。
第2条(1)ブルガリア共和国の領土はオプシティナ(基礎自治体)とオブラスト(県)に区分される
(2)基礎自治体の構成行政単位はクメトストヴォ(構成区)とライオン(区)である。これらは法あるいは基礎自治体議会の決定によって委任された機能と権限を執行するため設置される。
(3)基礎自治体においては基礎自治体議会議員と基礎自治体の首長を選出する。
(4)構成区においては首長を、区においては区議会議員と首長を選出する。
第3条 ブルガリア共和国の行政機構については法律によって規定する。
第4条(1)新しく基礎自治体を形成するときは決定後3か月以内に基礎自治体議会議員選挙を実施する。
(2)第1項の場合県知事は暫定首長を任命する。その権限任期は新首長選出とともに停止する。
第5条 基礎自治体は地方自治を実現する基本的行政・地域単位である。
第6条 削除
第7条 県は行政的性格をもち、選出による地方自治機関を内部にもたない。県庁には中央国家権力の諸機関、部局を作ることができる。
第8条 首都基礎自治体は県の地位をもつ行政単位である。そこでは住民の自治と首都発展の国家政策の実施が組み合わされる。
第9条(1)行政単位は共通利害の諸問題、諸課題の解決のため自由意志の原則に基づき連合できる。
(2)共通利害の擁護と地方自治の維持発展のため基礎自治体は全国連合、地域連合を設立できる。
(3)全国基礎自治体連合は以下の権利をもつ。
1 国家機関に対し加盟(基礎自治体)を代表する。
2 地方自治の法規定の修正、改善の提案を起草する。
3 国家予算案のうち基礎自治体に関する部分について見解を示し、提案を行う。
4 諸外国の同種組織と接触、相互協力し、国際機関に加盟する。
5 法令等の定める機能を実施する。
(4)第3項の諸権利は国内全基礎自治体の3分の2以上が全国連合に加盟した場合に行使される。
第2章 基礎自治体
第10条(1)基礎自治体の地域は基礎自治体に含まれる構成区あるいはナセレノ・ミャスト(住区)の地域である。
(2)住区間の境界に関する紛争はオクラク裁判所によって解決される。
第11条 基礎自治体における地方自治は市民あるいはその選出する諸機関に付与された権限の範囲内で以下の諸問題を解決する権利のうちに表される。
1 基礎自治体の財産、事業、財政、税金と手数料、行政
2 基礎自治体とその住区領域の開発
3 教育、就学前の教育、初等、基礎、中等の教育
4 厚生、保健衛生サービス、医療社会保障、衛生活動
5 文化、読書室、劇場、交響楽団、図書館、博物館、儀礼、地域的伝統慣習
6 インフラ整備事業、潅漑、水利、電化、暖房、電信電話、道路、広場、公園、庭園、街路電灯、公共交通、浴場、ホテル、駐車場、墓地
7 社会保障、介護、補助、住居改善
8 環境保護天然資源の合理的利用
9 文化、歴史、建築財の維持管理
10 スポーツ、レジャー、観光の発展
第12条 すべて基礎自治体は基礎自治体庁の所在する住区の名称を基礎自治体の名称とする。
第13条 基礎自治体の住民はその地域に住み住民登録した者である。
第14条 基礎自治体は法人であり所有権と独立した基礎自治体予算をもつ。
第15条 基礎自治体議会は住区、区に基礎自治体行政分室を作ることができる。
第16条 基礎自治体はシンボルを規定することができる。
第17条(1)市民は住民総会、住民投票あるいは別の方法により直接的に地方の問題を解決し、また、その選出した機関により地域政策を立案実施し地方自治に参加する。
(2)地域住民投票は基礎自治体の政治に関連して第11条に定める諸問題について実施される。住民投票実施決定は基礎自治体議会全議員の過半数の賛成をもってする。