ブルガリア共和国行政・地域機構法
(ブルガリア官報、1995年7月14日、63号。1998年12月28日、154号改正:抄訳)
第1章 総論
第1条 この法はブルガリア共和国の行政・地域単位の設置、行政・地域区画の変更を規定する。
第2条(1)行政・地域単位はオブラスト(以下、県と表記する)とオプシティナ(以下、基礎自治体と表記する)である。
(2)基礎自治体を構成する行政・地域単位はクメトストヴォ(以下、構成区と表記する)とライオン(以下、区と表記する)である。
(3)県、基礎自治体、構成区は地域、境界、住民、名称、行政府庁所在地をもち、区は地域、境界、住民、名称をもつ。
第3条(1)地域単位はナセレノ・ミャスト(以下、住区と表記する)とセリシトノ・オブラズヴァニエ(以下、特別地区と表記する)である。
(2)住区は歴史的機能的に形成された地域で、恒常的に居住する住民、建設あるいは建設・土地境界、必要さ社会・技術インフラの存在によって規定される。
(3)住区はグラト(「都市、市、町」が本来の意味だが、地域機構区分としての位置を考えた場合、上述の訳語では誤解が生ずる可能性があるので「大住区」と訳す)とセロ(「村落、村」が本来の意味だが、同上の理由から「小住区」と訳す。両者とも日本の市町村とは違って、地方自治単位ではない)に区分され、行政・地域単位及び地域単位統一分類指標において登録される。
(4)セリシトノ・オブラズヴァニェ(特別地区)は住区の建設境界外の地域で、建設境界によって規定される特別な機能を実現するため建設されるが、恒常的に居住する住民はいない。
第2章 県、基礎自治体、区、構成区の設置の手続き
第1部 県
第4条(1)県は1つあるいはそれ以上の隣接する基礎自治体から構成される。
(2)県の地域はそれに含まれる基礎自治体の地域である。
(8)県の名称はその県庁所在地の住区あるいはその地域の歴史的地域的特徴に関連した名称をもってする。
第5条 県の設置に際しては以下のことを考慮する。
1 地域の物理的地理的特徴
2 伝統的な文化経済中心地で社会技術インフラが整備され県内の住区から交通の便がよい都市の存在
第6条(1)ブルガリア共和国の領土は28県に区分される。
(2)県の境界及び県庁所在地は、内閣の提案に従って大統領によって定められる。
第2部 基礎自治体
第7条(1)基礎自治体は1つあるいはそれ以上の隣接する住区から構成される。
(2)基礎自治体の地域はそれに含まれる住区の地域である。
(3)基礎自治体の名称はその行政府庁所在地の住区の名称をもってする。
第8条(1)新しく基礎自治体を設置する条件は以下のとおりである。
1 新設基礎自治体に含まれる住区の住民総数が6,000人以上であること
2 伝統的な統合の中心で社会技術インフラが整備され住民へのサービスが保証できる住区が存在すること
3 別の基礎自治体を設置する条件がなく、他の隣接する基礎自治体に統合され得ないすべての隣接する住区が含まれること
4 基礎自治体の行政府庁所在地から最も離れた住区までの道路交通距離が40キロメートル以内であること
5 新設基礎自治体の支出を賄う際、承認された当該共和国予算に規定される全基礎自治体平均の少なくとも半分以上の自己収入によることが可能であること
(2)第1項の諸条件は住区を分離する基礎自治体にも適用される。
(3)地理的経済的通信的歴史的あるいは他の原因で第1項が満たされない場合内閣が第9条にしたがって新しい基礎自治体設置を決定することができる。
第9条(1)基礎自治体設置の手続き
1 1つあるいは複数の住区の有権者の25パーセント以上の署名による要求が当該基礎自治体議会に提出される。要求には第8条第1項の諸条件の有無について住区の首長の見解が添えられるものとする。
2 基礎自治体議会は1か月以内に決定を下し、県知事に送る。
3 県知事は2週間以内に要求の合法性を調査し、法の要求を満たしている場合、基礎自治体議会に1の住区において住民投票を実施するよう提案する。
4 住民投票は法が定めるところにより実施される。