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図表6-2 1995年度サハリン州統合予算における歳入構造

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補助金や交付金を含めても、1995年以降には12%〜14%程度に止まっていることになる。ところが、上の図表6-2に示したサハリン州の1995年予算では、連邦予算からの移転資金の歳入に占める割合は48.9%(当初から見込まれている赤字を差し引いた実質歳入に対する割合では57.13%)に上る。

連邦財務省の数値と構成主体の予算書に見られる数値の間に、これほど大きな相違が存在する理由は、結論だけを述べれば、十全に説明することができない。とはいえ、いくつかの理由が指摘できるだろう。

1]政府間財政関係の節で紹介するが、「移転資金」(Transfer)は、ロシア連邦一般会計予算中の「地方財政支援基金」から各構成主体に移転される、日本の「地方交付税」に相当する制度であるが、構成主体毎の交付額は当該の構成主体の財政能力によって変動する。したがって、財政能力の弱い構成主体では、移転資金の額が全国平均を上回り、歳入に占める比重も高くなる。とはいえ、地方財政支援基金から各構成主体への支出の最大と最低の間には、表1と表2の間の差異を説明するほど大きな開きはない。

2]ロシア連邦予算での歳出費目と構成主体での歳入費目の間に整合性のない資金の移転が存在する。連邦予算では各省庁による特定産業あるいは特定地域の支援プログラム実施のための支出として計上されていながら、構成主体の予算では連邦予算からの移転資金として計上されている事例も指摘されている。なお、「移転資金」(Transfer)が1995年ロシア連邦予算法から構成主体への資金の移転の主要な形態となっているにもかかわらず、今日にいたるまで、予算基本法などで正確な定義が下されていないことも、こうした齟齬が生じる原因となっている。

地方財政の歳入構造を検討するに当たって、もっとも重要な視点の1つである「中央財政への依存度」についても、以上のように、透明度が低いのが現状である。この点は、外側の観察者にとって不鮮明なだけでなく、中央と地方の「連邦財政への依存度」に関するパーセプションの齟齬を生んでいる。

 

 

 

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