すなわち、1]すべての自治体は、予算上の規制を実施する過程で、この連邦法律及び構成主体の法律にしたがい、独自の予算をもち、連邦予算及び構成主体の予算から資金を受けとる権利を有する。地方予算の編成及び執行は、自治体の憲章にしたがい、地方自治機関が独立してこれを行なう。構成主体の国家権力機関は予算規制の実施の過程で、地方自治機関は地方予算の編成の過程で、国家的な最低社会基準、社会的標準、最低予算保障指数にしたがってこれを行なう。2]地方予算に含まれる歳入としては、独自の収入及び調整収入金、補助金、使途特定補助金、自治体財政援助基金の資金及び相殺資金があり、地方予算の独自に収入は、地方税及び手数料、地方予算のその他の独自の収入、並びに地方予算に対して一律に保障される連邦税及び構成主体の税の留保分からなる。3]その他に、1)自治体財産の私有化及び売却による収入、2)私有化国家計画にしたがって実施された自治体の領域内にある国有財産の私有化による収入の10%以上、3)建物及び公有地などの自治体財産の賃貸による収入、4)地下資源及び天然資源の利用に対する支払金、5)自治体宝くじによる収入、6)連邦及び構成主体の法律にしたがって地方予算に繰り入れられる罰金、7)ロシア連邦の法令にしたがって定められる国家手数料、8)企業(団体)の財産に対する税の50%以上、9)法人格を持たないで企業活動を行なう自然人の所得税が、独自財源に繰入れられる。
さらに、1)構成主体ごとに平均で自然人の所得税の50%以上、2)構成主体ごとに平均で団体の所得税の5%以上、3)構成主体ごとに平均で国産商品(ロシア連邦の貴金属及び宝石国家基金から放出される貴金属及び宝石を除く)に対する付加価値税の10%以上、4)構成主体ごとに平均でアルコール、ウオトカ及びリキュール製品に対する消費税の5%以上、5)構成主体ごとに平均でその他の商品(鉱物資源、石油、自動車、輸入商品を除く)に対する消費税の10%以上、が連邦税からの留保分として地方予算の独自収入に含まれることになっている。この自治体に保障される連邦税の最低割合(比率)は、構成主体の立法(代表)機関がこれを定める。自治体に対して保障される連邦税の比率の計算は、構成主体ごとに連邦税から移転される収入の総額を基礎として行なわれる。これらは、いわば地方交付税の性格をもつものといってよいだろう。
地方財政法の制定は、自治体の財政そのものと構成主体と自治体の予算関係などの法的規制に新たな可能性を生み出したことは間違いない。地方自治法では、一般的に、地方財政についての、連邦や構成主体の財産の自治体財産への移転、最低限地方予算の確保、などに関する規定を定めていたが、地方財政法は以上のような形でそれを具体化したのである。
しかし、現在の地方予算にあっては、地方予算が構成主体の(部分的には連邦の)予算にとっての独特の「付け足し」であるという予算規制上の複雑な問題が存在しており、この法律では不十分だとの指摘が早速にも登場している。