全国基礎自治体連合への基礎自治体の加盟の可否については、基礎自治体議会が定員の過半数の賛成をもって決定する。年2回(7月、12月)総会が開かれるが通常首長が(副首長、議会議長が代理の場合もあるが)基礎自治体を代表して参加する。連合の活動経費は基礎自治体からの加盟費によって賄われ、外国の基金からも援助を受けている。
(3) 地方制度改革の方向
昨年末に改正された行政機構法は、県の数を9から28に増やすことを規定している。まだ、新しい県境界がどこになるかは示されていないが、現地調査の結果、1987年に廃止された行政・地域単位であるオクラク(旧県)の境界が復活する可能性が高い。旧県は全国に27団体ありとそれと同格の首都ソフィアを加えると28団体となる見込みである。ただし、県に関する現在の法規定自体を手直しするものではない。
教育文化組織、税務所、裁判所などは、1987年以降も旧県の区分のまま時が経過し、再び元の区分に戻ることになる。
また、任期満了にともない今秋予定されている地方選挙を前に、基礎自治体への事実上の従属が顕著で、住民の直接選挙によって選ばれているにもかかわらず意思決定機関とはなっていない、独立した権限をもたないとの指摘が強かった区議会の廃止が見込まれている。基礎自治体の議会議員の定員削減構想についても、少なくともソフィアの首都基礎自治体の議会に関してはすでに議論が始まっている。
今回の調査の段階では、基礎自治体の設置規準の人口に関する要件が7,000人に引き上げられるとの見解が各所で聞かれた。現在の改革を進めている与党民主勢力同盟系の関係者はいずれも基礎自治体の規模の拡大はその財政の安定化にもつながるし、基礎自治体の統合は「ヨーロッパ」の趨勢だとして積極的だった。実際行政機構法改正にも深く関わった地域開発公共事業省の専門家も基礎自治体統合の方向性については至って前向きであった。やや否定的な意見が聞かれたのは全国基礎自治体連合においてであった。昨年暮れの改正によって、実際には6,000人というハードルに落ち着いた。基礎自治体の統合拡大の方向性は変わらないとして、基礎自治体の行政機関所在地だけでなく構成区の住民にとってもその意思が反映されうる地方自治が果たして実現していくのか。あるいは行政サービスの格差の縮小は図れるのだろうか。
基礎自治体内部の格差の広がりは、基礎自治体に実質的な地方自治が復活した1990年代になってむしろ加速しているのかもしれない。