また、その存在意義が問われている区の議会、首長の選挙については、今秋予定されている地方選挙を前にして、首都基礎自治体や国民議会では以下のような見解が、形成されつつあるようだ。それは区議会は閉鎖し、区長は任命制へ移行するというものである。首都基礎自治体の書記の方からは、基礎自治体議会の定数削減計画についての議論も聞くことができたが、選挙制度それ自体を修正する方向性は今のところ現れていない。
(2) 全国基礎自治体連合の設立とその役割
ブルガリア共和国憲法第137条は地方自治体の連合する権利を認め、それについては法によって規定するとしている。1991年の地方自治地方行政法は基礎自治体の連合する権利を認めてはいたが、その詳細、手続きについては規定していなかった。1995年の改正によってこの地方自治体の連合体がブルガリアにおいても設立されることになった。改正地方自治地方行政法第9条は基礎自治体は共通する利害の擁護と地方自治維持発展のため全国連合、地域連合を設置できると規定している。これはヨーロッパ地方自治憲章の条項を強く意識して作られたものでもあった。
全国基礎自治体連合は
1]国家機関に対し加盟基礎自治体を代表し
2]地方自治の法規定の修正、改善を提案し
3]国家予算案のうち基礎自治体に関する部分について見解を示し、提案を行い
4]諸外国のこうした地方自治機関、連合組織と相互協力、情報交換し国際機関に加盟すると定められている。
また同法は、以上の全国基礎自治体連合に認められた諸権利は連合に全基礎自治体の3分の2以上が加盟した場合に行使されるものと規定した。
こうして基礎自治体の連合組織設立への道が開けた。1996年12月11日、全国基礎自治体連合は基礎自治体94団体によって設立され、自由意志と平等の原則に基づいて加盟基礎自治体を増やしていった。1997年暮れには209基礎自治体が加盟し、上に述べた権利を行使する条件をクリアした。現在加盟基礎自治体の数は229となっている。近代ブルガリア史上初めて、全国規模で基礎自治体を結び付ける組織が結成されたことになる。