(3) 首都基礎自治体(ストリチナ・オプシティナ)
近代ブルガリア国家の誕生以来、首都として政治、経済の中心として発展してきたソフィアは、社会主義時代の農業の大規模化、集団化と産業化、都市化政策も手伝って、現在では全人口の1割以上が集中する大都市となっている。これまでも、いくたびか首都基礎自治体についての法律が制定されてきたが、現在はとくに首都ソフィアのみの地方自治、地方行政を定めた法律はない。首都は他の基礎自治体と異なり県と同じ扱いも受けることになる。つまり、住民の地方自治を実践しつつ、国家の地域政策も組織実行するわけで、首都基礎自治体の議会、首長、政府の政治色が一様ではない場合は、状況は複雑になろう。
首都基礎自治体については他の基礎自治体と同様地方自治、地方行政法が基本的な法律である。ただし、首都基礎自治体を構成する区の区分については、人口30万人以上の都市プロヴディフ、ヴァルナとともに首都基礎自治体と大都市の地域区分に関する法において定められている(後述)。
(4) 構成区(クメストヴォ)
構成区は一つあるいは複数の住区からなり基礎自治体を構成する行政・地域単位である。構成区には住民の直接選挙によって選出された構成区長が存在する。構成区長の任期は4年である。しかし、基礎自治体の場合のように議会はなく、独立した予算、あるいは法人格はもっていない。
構成区長の機能は以下のようになっている。
―基礎自治体予算のうち構成区にあてられた予算の執行
―公共事業の実施
―構成区にあてられた基礎自治体財産の運用
―構成区行政に携わる職員の任免
―環境保護
―住民登録
―行政サービス
―社会秩序の維持
―災害、事故に際して住民保護を組織
―住民に対して、また他の社会組織、政治組織や他の構成区に対して当該構成区を代表する
現在構成区が抱える最大の問題は独立した予算、法人格をはじめ、基礎自治体には備わっている諸権利がないことからくる。