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パヴリケニ基礎自治体の場合は、医療28%、社会保障13%、教育33%、文化2%、行政全般24%となっている。ソフィア首都基礎自治体の1995年度支出内訳は保健衛生24.1%、教育24.1%、文化2.2%、社会保障5.7%、経済活動への投資12.9%、首都行政4.2%、土木建設事業25.6%、その他2.2%であった。

保健衛生医療、教育分野に支出の多くが費やされていることが、はっきりと確認される。一方、文化保護育成への支出は低く抑えられている。

 

(2) 県(オブラスト)

 

県は効率的に地域政策を実施し、国家権力を分権化する行政・地域単位であり、その行政の中心となるのが県知事である。県知事は内閣が任命し、県知事を補佐する副知事は首相が任命する。県行政機構についてはその組織、職員数などを規定する閣議令が公布されているが、全国と地方、中央と地方、そして地方の各基礎自治体間の調整がその主たる業務であり、地方自治体ではない。県は議会をもたず、県知事は中央の任命であって住民の直接選挙、あるいは基礎自治体議会による選出ではない。

県知事の職務は以下のとおりである。

―県における国家政策の実施、行政の改革を推進し、中央政府機関と地方自治体の調整にあたる

―全国と地方の利害を調整し、地域開発計画を立案する

―地方自治、地方行政の諸機関と相互協力する

―国家資産の保護にあたる

―当該県における法秩序の維持に責任をもつ

―地方自治、地方行政の諸機関の法令等の合法性を監督する

―当該県における国家機関政府機関の法令等の合法性を監督する

―社会秩序の維持

―住民の軍事動員を組織する

県知事はその権限において命令書を発行する。例えば、基礎自治体議会の決定した条例等が合法性を欠くと判断すればこの命令書によって条例等を停止させ、裁判所に提訴し司法判断を仰ぐ。また基礎自治体首長の条例等に違法と判断するものがあれば、この命令書によって破棄することができる。ただし、この場合も同様に破棄の命令が妥当であるかいなかについては司法権力が判断を下すことになっている。

県行政にかかる費用は共和国予算つまり国家予算によって賄われる。

 

 

 

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