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エ 財政

 

基礎自治体は自己財源や国家補助金によって、独立した予算を編成することができる。自己財源となるのは税金(固定資産税、相続税、贈与税、収益税、法人税など)、行政サービス(清掃事業など)に対する手数料や基礎自治体の施設使用料、基礎自治体の所有する資産の運用によって得た収益などである。

基礎自治体の所有権については、1996年に国家の所有に関する法と基礎自治体の所有に関する法が制定され整備された(聞き取り調査に協力してくれたソフィアの首都基礎自治体の書記の方の話では、国有財産と基礎自治体財産の決定はほぼ終了しているが、首都基礎自治体と国との間にはまだ、最終的決定が下されていないものがあるということだった。)。

少々データとしては古いが、1990年代前半、ブルガリアの基礎自治体の収入全体に占める自己財源からの割合は53%、一方、国家補助金の占める割合は47%だった。また今回聞き取り調査を行ったバルカン山脈とドナウ川に挟まれたブルガリア北部の基礎自治体パヴリケニ(面積583平方キロメートル 人口32,500人)では、予算の収入に占める国家補助金の割合はほぼ3分の1とのことであった。

一般に基礎自治体の多くは、自己財源に乏しく国家補助金の役割は小さくないが、例外的な場合も存在する。ソフィア首都基礎自治体の1995年度の収入173億レヴァ(ブルガリアの通貨単位)のうち、国家補助金の占める割合は9.7%、税金や手数料、施設使用料の占める割合は87.9%、その他2.4%であった。首都基礎自治体は、ほとんど自己財源で予算を組んでいることになる。

今回の聞き取り調査において、国民議会の地方自治、地方行政を検討する議会内常設委員会メンバーである議員から、基礎自治体はその支出の25%を自己財源で賄わなければならないという趣旨の情報を得たが、昨年暮れに改正された地方行政機構法においては基礎自治体新設の条件として、基礎自治体はその支出を賄うにあたり、既存の基礎自治体の自己財源からの平均収入の半分以上を自己財源によって賄う能力が求められている。

基礎自治体に対する国家補助金を算出する際には、当該基礎自治体の面積、人口、住居数、全生徒数、保育施設・幼稚園の児童数、文化施設の数など26項目の指標と数式が用いられる。

支出について見てみると、上述の1990年代前半のデータでは、ブルガリアの基礎自治体の支出の内訳は、教育35%、保健衛生28%、社会保障12%、投資11%、公共サービス6%、行政5%、文化3%であった。

 

 

 

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