書記局は各国1名ずつの計5人で構成され、うち1名が執行ディレクターとなり、他の4名が国家書記となる。執行ディレクターの任期は2年で、現在はポーランド人がこのポストにある。ルーマニアの国家書記は、ムレシュ県のロムルス・ロメオ氏である。
活動委員会は5部門からなり、それらは1]地域発展委員会、2]観光・環境委員会、3]文化教育委員会、4]貿易委員会、5]財政監督委員会である。各々各国2名の代表者で構成され、2〜3か月に一度会合を開いて諸問題を検討する。委員会議長は、それぞれ、1]がハンガリー、2]がポーランド、3]がウクライナ、4]がルーマニア、5]がスロヴァキアが務める。ちなみに、メチアル政権の性格を反映して、スロヴァキアは委員会活動が不活発となり、同部門の議長はしばらくポーランドが務めていたが、1998年9月の選挙でメチアル政権が敗退したことから、スロヴァキアが同ポストを手にすることになった。
(3) 予算
カルパチア・ユーロリージョンの活動に不可欠な資金は、それに参加する各々の地域(各国の参加している県)の分担金によって賄われる。それぞれの地域に割り当てられる年間分担額は5千ドルで、ルーマニアの場合は2万5千ドルである。
また、上記のカルパチア・ユーロリージョン発展基金は、この地域のNGO活動のための財政支援に使われる。
(4) 各委員会の事業活動と問題点
上記の活動委員会の概略を示せば、次のようなものである。
すなわち、地域発展委員会は、経済基盤の育成や地域の経済発展戦略を考案する。そこには、工業、農業、サーヴィス業、製造業などの発展が含まれる。観光・環境委員会は、インフラの整備、サーヴィスの向上、観光用宣伝パンフレット作成などを担当する。例えば、地域全体で冬季スポーツの振興に取り組めば、観光も盛んになり、旅行者も増大することになるであろうということである。文化教育委員会は、博物館や展覧会を共同で開催するなど、地域全体の文化的つながりの強化に努め、それによって民族間の不信が除去されることが期待されているが、その際、ファーレ・プログラム(PHARE)やタシス・プログラム(TACIS)、その他EU内のプログラムからの資金援助を獲得しなければならない。貿易委員会は地域の貿易関係の強化、商社や企業家のコンタクト、展示会などを開催して、企業の紹介に努めている。貿易が栄えれば、人々の往来も増え、経済活動が盛んになると共に、ホテルなど観光業も発展することになる、というのが同委員会議長を務めるルーマニアのロムルス氏の考えである。