6 首都制度
(1) ブカレスト市制の特徴
ルーマニアの首都ブカレストの面積は228平方キロメートルで、人口は2,067,545人(1992年国勢調査)、したがって全国民のおよそ10分の上の人口が首都に集中していることになる。ここからブカレスト市は特別市と見なされて、県と同等の扱いがなされ、国から知事が任命される。これとは別に基礎自治体として、同市には1名の総市長と4名の副市長が置かれ、議決機関としてブカレスト市総議会が設置される。この点において、ブカレストは他の市とは異なる。また、ブカレスト市はそれ自身2層構造を有しており、市は6区に区分けされている。区には各々1名の区長と2名の副区長が置かれ、議決機関として区議会がある。
現政府の地方行政法改正案は、ブカレスト市に関する規定を第5章に設けている。同規定によると、ブカレスト総市長、ブカレスト市総議会、区長、区議会は選挙を通じて選出されるが、ブカレスト市の知事は政府によって任命される、とある。一般に、知事は、知事及び県行政局の提案に則って首相が任命する1名の副知事によって補佐されることになっているが、ブカレスト市の知事の場合は2名の副知事によって補佐される態勢がとられている。しかし、ブカレスト市が位置するイルフォフ県にも、知事と副知事が各々1名ずつ任命されることから、イルフォフ県とブカレスト市の行政関係は次の図表2-7のような関係にあると言えよう。