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(2) ブカレスト市の組織

 

ブカレスト市行政のトップには直接選挙で選出される1名の総市長が立つが、同総市長を補佐するのが、同じく直接選挙で選出される65名の市議会議員の中から互選された4名の副市長である。現政府の地方行政法改正案によれば、将来的には副市長は4名から2名に削減される予定であるが、現在は4名の副市長が経済局、都市・開発局、固定資産局、行政局、監査局という5つの部局を担当し指導している。局はいくつかの部に別れており、経済局と都市・開発局は各々3部、固定資産局は5部、行政局は6部、監査局は2部からなる。また、副市長以外に中央政府が任命する総書記がおり、総書記の下に法律部、書記部など4部が置かれている。さらに、総市長部、国際部、人事部など8つの部が総市長の下に直接置かれている。

他方、市総議会は13の専門委員会を有する。それらは、1]経済、予算、財政委員会、2]都市、公共事業、開発委員会、3]上下水道、地域暖房、電力委員会、4]保健衛生委員会、5]交通、道路、駐車場、橋委員会、6]環境保護委員会、7]文化、教育、スポーツ、マス・メディア、宗教委員会、8]司法委員会、9]健康・社会保護委員会、10]地方行政近代化、対区関係、民営化、国際関係、欧州統合委員会、11]固定資産委員会、12]商業・消費者保護委員会、13]対雇用者、労働組合、非政府組織関係委員会である(22)

ブカレスト市の職員は1,250名であると言われる。

ブカレストには1区から6区まで6つの区があるが、そこには各々直接選挙で選出される1名の区長と、議員の中から間接選挙で選ばれる2名の副区長がいる。また、住民の数に応じて、各々31人から35人の区議会議員が選出される。現政府改正案によれば、将来は副区長が1名に、区議会議員の定数は各々3分の1削減され、例えば35名の議員からなる3区は21名になると言われる(23)

区の機構は、7つの局、区長室、文化・非政府組織関係室、情報サーヴィスからなる。7つの局とは、1]監督・監査局(環境保護・厚生部、建設規律部、商業監査部)、2]都市局(不動産登記部など4部)、3]公共業政局(1部)、4]地方行政、司法、書記局(4部)、5]社会局(4部)、6]経済局(5局)、7]財務局(3部、1999年以降)である。職員数は261名で、うち上級職は40名、一般職203名、雇員18名という内訳である(24)

 

(3) ブカレストの市総議会及び区議会の権限

 

現政府の地方行政法改正案によれば、ブカレスト市総議会の権限と第95条第2項に定められる区議会の権限は、他の地方議会が持つ諸権限と大差がない。また、業務については、教育関係、厚生、交通、環境保全、文化・スポーツなど市民生活に関わる業務一般におよぶが、これまで内務省の権限とされてきた警察や消防の任務の一部も、これら基礎自治体に移管される。例えば、公共秩序の維持、交通、住民証明などの業務は市へ移管されることになると言われる。

 

 

 

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