日本財団 図書館


首長の死去、辞任、選挙違反、移住、選挙資格の停止、裁判所が違法と判断した指令を3か月の間に3つ以上出した場合、その他の理由で、首長の任期が終了する時は、知事が命令を通じて任期停止の措置を講じる(同改正案第72条第4項)。

知事は、首長が刑事事件を起こして裁判にかけられ、刑事裁判が開始されて、予防逮捕された場合、知事は命令を通じて、首長の機能を一時停止する(同改正案第77条第2項)。

さらに、基礎自治体の25%以上の有権者が首長解任のための住民投票を求めた場合(同改正案第73条)、県知事はその動機や手続き上の諸条件が満たされているかどうかを調査し、県行政局を通じて政府に、住民投票の実施を提案する(同改正案第74条第1項及び第2項)。政府は、県知事と県行政局の報告書に書かれた提案を基に、60日以内に住民投票の日程を定める(同改正案第74条第3項)。

ところで、首長が自治体における国家機関の代表としての行動を求められる場合がある(同改正案第69条第1項)。治安機関としての権限及び文民将校としての権限を行使するとき、あるいは国勢調査、選挙の組織と実施、市民保護の手段を講じる時などがそれにあたる。その場合、執行機関だけで権限を行使することが難しいのであれば、省庁や中央専門機関からの出先機関の援助を要請できる(同改正案第69条第2項)。

 

オ 県議会と知事

 

県レベルでは、基礎自治体の場合と違って、首長は直選されない。したがって、県議会議員の中から互選で選出される県議会議長が、「県レベルにおける地方行政の首長」であるとされる(地行法改正案第114条第1項)。県議会議長は、県の執行機関及び専門機関、公共サーヴィス機関、公社の活動、県議会が設立した株式会社の活動に責任を持ち(同改正案第114条第1項)、県行政がうまく機能するよう、県議会に対して責任を負う(同改正案第114条第2項)。また、同議長は他の公共機関との関係において、県を代表する(同改正案第115条)。

これに対して、県知事は再三繰り返すが、あくまでも政府の代表であり、住民によって選出された県を代表する機関ではない。知事は政府の代表機関として、地方議会の活動、県議会の活動、県議会議長及び首長の活動が、法規範に則って行われているか否かを見守るのである(同改正案第132条第1項)。

この県議会議長と県知事との基本的な相違は、以下のような関係のなかに具体化される。まず、知事は自然災害の場合など緊急措置が必要な場合に、県議会議長に対して議会の開催を要請する(同改正案第40条第2項、第106条第2項、第136条)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION