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(3) 鉄軌道補助制度の貧弱による中小郡市の公共交通にサービス

 

我が国では、年間の道路投資が15兆円を超えているのに対して、鉄道投資は民間投資を含めても1兆円強である。政府の鉄軌道補助は、最も額の大きい地下鉄補助でも800億円程度であり、きわめて低額である。このため、中小都市の公共交通のサービスは低水準であり、自動車保有率が上昇し、郊外化を促進させ、人口密度が低下していく。これが、鉄軌道整備をいよいよ不可能にしていくという悪循環を呼んでいる。

 

(4) 公共交通運賃制度の硬直性(日本)

 

ヨーロッパ等では、ドイツの運輸連合に典型的に見られるように、異なる事業主体によって経営されている公共交通機関間の共通運賃制が広く採用されるようになってきている。しかし、我が国では、わずかに同一経営主体のバスや地下鉄を乗り継ぐ場合のみ、ようやく乗り継ぎ先での運賃割引が、採用されるようになったばかりである。このため、公共交通を乗り継ぎながらの移動は、seamless性に著しく欠け、一部の大都市を除いては、自動車にシフトする一方である。

 

(5) HOV(High Occupancy Vehicle)レーン(アメリカ、New Jersey)はガラガラ

 

高速道路の需要を減らす策として、相乗り車専用レーンを全米大都市で延べ3,200kmにわたって設けた。しかし、極めて不人気で、かえって一般レーンの渋滞がひどくなり、速度低下による排出量の増大する悪影響の方が卓越する状況になっている。

 

(6) 郊外への大規模店舗立地許容(日本、イギリス、アメリカ)

 

地価が安く広大な駐車場のとれる郊外に、大規模店舗の立地を許すことにより、郊外への自動車交通量が増大し、かつ、走行距離も長くなり、ト―タルの排出量が著しく伸びている。

 

 

 

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