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(1) 規制緩和による地域公共交通ネットワークの崩壊(イギリス)

 

交通の規制緩和は、効率化の旗頭の下に、1980年代半ばにおいて、サッチャー政権時代のイギリスの長距離バスから始まった。

80年代後半になると、同国では、地域のバスにもこれが適用される事となった。しかし、この規制緩和は、各地域でのパス路線網のうち、収益性の高い路線のみの運営を許したために、公共交通がネットワークとして機能しなくなってしまった。すなわち、公共交通の私的交通に対する最大の弱点であるseamless性を、完全に崩壊させる結果となり、環境負荷の削減という観点からは、大きな失敗となってしまった。

 

付図; 運輸交通部門における環境改善施策の分類4

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(2) '89消費税導入に伴う自動車関連税改正(日本)

 

日本では'89年に消費税が導入されたが、これに伴って自動車の物品税(2000cc超の普通自動車23.0%、2000cc以下の小型自動車18.5%)が廃止され、いずれも6%に軽減された。さらには、技術開発の促進、消費者ニーズの変化への対応等の観点から、普通自動車の自動車税までも車種間の率格差が緩和されてしまった。そのために、排気量の大きい普通自動車の市場シェアが増え続け、CO2排出増加傾向に拍車をかけた。

 

 

 

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