この値は、COP3におけるわが国の削減目標である6%からは程遠い。仮に、0%増加に抑えるためには、a)モーダルシフト、b)トリップ長の短縮、c)輸送効率(平均乗車人数)の、それぞれ単一施策のみで対処すると仮定すれば、以下のようなことを実行する必要がある。
(a)モーダルシフト施策:旅客で約43%、貨物で約30%を現在の自動車利用から鉄道利用へシフトする必要がある。
(b)トリップ長削減:旅客で38%、貨物で28%を削減する必要がある。これは、通勤旅客の場合、自宅を都心の職場方向に60%の距離の地点へ移転するなどが必要であることを意味する。
(c)輸送効率の向上:旅客で1.6倍、貨物で1.4倍、向上させる必要がある。これは、通勤旅客の場合、車で出勤する人は、職場までの中間地点よりも手前で、自動車を諦めて相乗りしてくれる人を確実に見つけて乗せ、同時に、鉄道もその混雑率を1.6倍に高めなければならないことを意味する。
以上のように見てくると、それぞれの単一施策では0%増加すら到底実現できそうになく、発生源対策や交通管理政策など、可能な複数の施策オプションの組み合わせによる対処が必要である。