イ グラウンドワークの目的
グラウンドワークの目的は、「パートナーシップによる持続可能な地域環境改善活動を通して経済・社会の再生に貢献すること(To bring about sustainable improvements, through partnerships, to the local environment and contribute to economic and social regeneration.)」である。これは、天然記念物のような特別な環境資源ではなく、身近な普通の生活環境の改善に、地域住民が自分たちで取り組むということで、その裏側には行政が細かな地域環境整備まで手が回らないほど大胆にリストラされたということがある。(例えば日本の都道府県に相当する行政体を相当数解散してしまった。)
ウ グラウンドワークの特徴
グラウンドワークの第一の特徴は、スローガンである「Action for environment」に象徴されるように、実際の環境改善のためのアクション(具体的な行動)を起こすということである。この点では行政に対して行動を促すような政治的圧力をかける従来の自然環境保護グループの運動とは明確に一線を画している。
第二の特徴、地域を構成するすべてのセクター、すなわち住民、企業、行政を中心に、学校やPTAなども含む多様なグループがパートナーシップを組んで基礎的環境のケアを自ら行うということである。従来はとかく敵対関係にあったりした各々のセクターが、環境改善という共通の目的のもとで対等に協力関係を結ぶための場が提供されたのである。
ここで言う「パートナーシップ」というのは、単なる仲良しクラブではなく、環境改善のための具体的な「事業」を遂行するために必要な経営資源(ヒト、モノ、カネ、ノウハウ)を出し合う経営体、という意味である。この経営体を「グラウンドワーク・トラスト」と呼び、商法上は非営利の「有限責任会社」として登記されるNPOである。同時に公益的事業領域の団体であるチャリティ団体のひとつとして認められており、税制上の優遇措置等が受けられるようになっている。
第三の特徴は、国の補助金などが自治体を経由せずに直接助成される受け皿になり得るということである。ボランタリー団体であるグラウンドワーク・トラストなどに国の財源が流れるのであるから、当然その分自治体に配分する財源が減ることとなる。