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イ 身近なNPO

 

また、地球環境問題への基本的な対応方向として提唱されている「地球規模で発想して足元から行動する(Think Globally,Act Locally)」のキャッチフレーズにもあるように、実際の市民レベルでの活動は、いきなり「地球規模」といった抽象的なスケールに飛ぶのではなく、身の回りの身近な活動が中心となると考えられている。こうした活動の受け皿として、急速にNPOの役割が重要になってきている。

例えば、地域におけるごみのリサイクル活動や不用品の再利用のネットワーク、環境汚染の原因となる化学物質の利用削減などでその活動が広がってきている。

さらに、より一層の行財政改革(行政のスリム化)が要請されている既存の自治体においては、変化の激しい時代において対応しきれない部分に、市民レベルの自主的・主体的な自己責任による活動がその一部を補完することも徐々に浸透してきている。その最も顕著な例は、先の阪神淡路大震災における被災直後の行政機能が麻痺した状況のもとで発揮された「市民パワー」に見ることができる。

また、わが国の行政施策の展開は公平、平等を基本としており、変化の激しい時代に即応して特定分野に突出した対応、しかもその効果が明示的ではない、あるいは失敗のリスクを伴う施策の実行には向いていない面がある。今後は、行政にとっても、過去に実績のない分野において自らリスクをとって主体的に地域住民が活動する場面の重要性はますます高まっている。

 

ウ NPO法の成立

 

こうした時代の要請を受ける形で、わが国においても財団法人や公益社団法人以外の市民活動に対して「法人格」を付与する特定非営利活動促進法(NPO法)が施行された。この法律によるNPO法人の設立にかかる行政担当窓口は都道府県(国ではなく地方公共団体)である。

従って、地球温暖化防止対策においても、地方公共団体による広範な環境関連NPOへの支援(既に課税免除など行われている)が期待されるところである。

 

 

 

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