わが国は、GDPで英国、ドイツ、フランスの8国の合計に匹敵し、人口規模では人口の多い県ひとつがスウェーデンやデンマーク、ノルウェー、ベルギーといった中小規模の国家と同じ規模、地理的には北欧から南仏に至る程度の広がりをもっており、日本全体でEUに準ずる程度の広がりをもっている。戦後の高度経済成長を牽引してきた国家総動員的なビヘイビアはもはや終了し、これからは地域に根差したEU型の政策、戦略がわが国でも必要になってきていると見ることもできよう。
(5) NPO、NGOの支援
ア 環境NGOの役割
今日、地球環境問題に限らず、各種の環境問題への対応においては、試行錯誤のレベルも含めてさまざまなレベルの民間活動が大きな役割を担っている。
例えば、地球温暖化対策を含む国連の各種の環境関連の討議の場には、各国の政府と並んで多彩な「環境NGO」が正式メンバーとして参加し、重要な役割を果たしている。
かつて環境NGOの中には、各国政府の政策と真っ向から衝突するような原理主義的な過激なグループも多かったが、今日では客観的なデータに基づいて理性的に責任ある行動と発言を行う成熟した団体が数多く育っており、幅広い支持を得ている。
また、各国政府や地方自治体は、必然的にその国の国益や地域の利益(そこに籍を置く住民や企業の生命や財産)を守らなければならない立場にある一方で、こうした政治的な制約から自由なNGOはより地球全体の立場から発想した大胆な提言なども行い得る立場にあるため、双方が機能を補完するような関係もできつつある。