ここにおいて、地域の市民の「思い」と、行政区分、議会と行政との役割分担などが改めて問われる状況が発生していると見ることはできないだろうか。
都道府県と市町村との関係では、県の権限として行われる行政施策については、県内の特定の自治体だけではなく、県内すべての自治体にあまねく公平に平等に対応しなければならないのが基本で、少数の自治体の状況をもって県の政策の変更を行うのはある程度の困難を伴う。ここでは、直接の影響を受けるのが一自治体であるのに対して、その障害を克服する行政の枠組みが県レベルであるために、両者の調整の枠組みが必要とされていると見られる。
また、廃棄物にかかる法律は国全体で決められており、自治体で策定される条例にしても国の法律を逸脱しない範囲でのみ認められているため、地域の特殊な事情に応じて国の法律と異なる条例を制定するわけにいかず、最終的には全国での公平性や客観性に基づいて国会の場で法律の内容を議論するしかないのが現状である。
イ 対応の方向
今後、わが国においては様々な分野において「地方分権」が進められるが、地元市民にとっての環境問題などは、すべてを国レベルまで上げるのではなく、地域の中、あるいは地域連合の枠組みの中で、自主的・自律的に解決していくことのできる枠組みも必要になってきているのではないだろうか。
EUの時代をむかえ、ヨーロッパ諸国では国家の枠組みを越えて、地域という枠組みでの戦略や、国境を越えた地域どうしの連携が進みつつある。特に、環境問題に関しては、これまで規制のゆるかった旧共産圏諸国やラテン系諸国・地域と、規制の厳しいアングロ・ゲルマン系の諸国・地域との調整が、様々な面で難しい局面を迎えている。また、議会制民主主義を補完する形で様々な住民の直接民主主義の手法が根付いてきている。