そこで、ヨーロッパ諸国のように安定成長の時代を迎える将来の行政においては、都市計画をコントロール機能に限定して、開発事業部隊と分離する方向も検討されてよいであろう。
なお、都市計画の事業フレームに関して、省エネという面では「無秩序なモータリゼーションの抑制と公共交通の重視」も重大な課題であるが、この分野についてはここでは触れないこととする。
(3) 都市環境計画に(エコシティ)
(根本「エコシティ」芸術工学会誌No.7、April 1995より引用)
ア エコシティの背景
都市づくりにおいても、「環境共生」「省エネ省資源」は重要なテーマとなっている。
市民生活のレベルにおいても、ごみのリサイクルや省エネ、自然エネルギーの活用などといった、環境負荷削減につながるような施策が普及しつつある。しかし、個人の行動の選択にはおのずと限界がある。下水道や地域独占事業である電力供給などは、住む場所によって選択の余地がない。また、長距離通勤や自動車の渋滞などはユーザー自身が不快なだけではなく、エネルギー消費が多く環境負荷が極めて大きいにもかかわらず、都市全体を視野にいれた都市機能の再配置や交通システム全体の変更なしには改善は望めない。各家庭でこまめに節電するのも環境対策ではあるが、清掃工場の排熱を使った熱効率の良い地域冷暖房の普及は、快適な都市生活と省エネルギーとを一挙に両立し得る有力な手段である。
こうした都市、地域レベルを対象とした社会的システムや都市基盤の改善は、すぐれて都市づくりレベルの施策であり、環境対策面での役割は非常に大きいと言える。