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イ 事業フレームと人口フレームの時間差

 

例えば、収容人口5000人で、平成12年度に竣工する10年計画の市街地基盤整備事業を平成2年度に策定したとする。その時点での事業フレームは、竣工時の平成12年度で5000人(分の基盤整備が終了する)ということになる。

しかし、極端に言えば、竣工したその瞬間にはその地区の住民はまだゼロであり、上記のように、実際に人が居住するのはその後のタイムラグがあるので、福祉や教育の基礎となる基本計画のフレームでは平成12年度ではゼロ、平成22年度でプラス2000人、平成32年度でプラス4000人、というように増えていくはずである。

従って、平成2年度時点での事業フレームの将来目標と、同年度の基本計画の将来目標は違っていて当然であるにもかかわらず、こうしたごく基本的なフレームの時間差がきちんと整理されずに、行政内部でのフレーム議論が紛糾する事例も少なくない。

 

ウ 対応方向

 

都市計画などの事業のためのフレームと、実際の居住人口をもととする実質的なフレームとの性格の違いを明らかにし、それが地方自治体の基本計画とどのような関係になるのかを整理する必要がある。

また、ヨーロッパ先進諸国の都市計画の制度とわが国のそれとを比較した場合、ヨーロッパにおいては都市計画はたいていの場合「規制(コントロール)」に限定されており、新市街地の開発などは経済計画などと一緒に都市の開発事業として、都市計画とは別の事業部局の担当に別れていることが多い。

一方、わが国の都市計画は、その歴史的経緯から、開発行為をコントロールする機能と同時に、公共施工の土地区画整理事業のように、計画主体自らが事業推進をも行う制度になっており、いわがアクセルとブレーキを同時に踏むような制度となっている。これではフレームの設定にあたり、将来発展を見越した希望的観測に振れるのか、環境容量などを加味した抑制的傾向に振れるのか、どっちつかずになる恐れがある。

 

 

 

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