さらに、地方公共団体の長期フレームは、その位置付けとして、それが実現する蓋然性が極めて高い「現実フレーム」として設定される場合ばかりではなく、いわば「希望的観測」として「こうあって欲しい」「できればこうありたい」という期待を込めた「目標フレーム」として設定される場合も少なくない。
これは、現行の地方公共団体の総合計画(あるいは基本計画)のフレームが含まれる「基本構想」部分が地方議会の議決の対象となっており、単に行政内部の客観的・技術的・政策的判断によって決められるものではなく、地方議員や首長の選挙公約や政治信条といった主観的・恣意的・政治的な判断によって議決されるという制度上の背景も影響しているためと考えられる。
また、行政内部においても、企画部局ではかなり押さえたフレームを提示しても、都市計画・土木部局からは開発予定地域がすべて開発されて埋まるとした積極的なフレーム、産業振興部局からは新たな産業開発の促進を読み込んだフレームが示され、内部での調整が困難を極めることもある。結果として、基本計画の目標数値と都市計画のマスタープランの目標数値が整合しないといった事態も頻繁に生じている。
ウ 対応方向
今後地方公共団体としては、希望的観測で膨らんだ過大なフレームとならないように、現実的な将来予測をもとに各種計画を策定することが望まれる。
既に、過疎地域など、いくつかの地方公共団体では縮小フレームを元に行政計画を策定しているところもあるが、個別の自治体で長年続いた慣行を改めるのは非常な困難が伴うと予想される。そこで、国レベルで「現実的なフレーム策定のガイドライン」のようなものを検討してもよいのではないだろうか。その中には、
・地方公共団体単独ではなく地方、県、周辺地方公共団体との関係おいて長期的トレンドを想定する手法