米国においては、連邦政府機関に対し省エネを促す、あるいは省エネルギーを目的としたパフォーマンス契約を実施することを認めるなどの形で、直接・間接的に、連邦政府内においてESCOが浸透するような立法措置が取られている。しかし、一部の例外を除き連邦政府の対応は遅れており、その理由は、政府機関は予算縮小に反対的な立場をとること、連邦政府及び連邦調達規則にエネルギー・パフォーマンス契約が明確に書き込まれていないことなどであるとされる。
(イ) 欧州
欧州ではESCOは、TPF(Third Party Finance)と呼ばれるているが、最近ではESCOといった呼称も一般的になりつつあるようである。米国に比較しESCOはあまり活発とはいえなかったようであるが、東欧諸国を対象にしたこのビジネスが近年脚光を浴びつつある。
英国では18のESCOが活動中である。大手2社が市場の50%をしめる寡占状態にあり、大手2社は全てのエネルギーサービスを提供しているが、多くのESCOは以下のようなサービスを行っている。
・大規模コージェネレーションの導入に関わる資本と技術の提供
・プラントの操業及び保守に関わる広範なサービスの提供。及び小型コージェネレーション、ボイラの導入に関わる資本と技術の提供
・照明、圧搾空気などの特定サービスの提供
大規模コージェネレーションの契約に関しては、電力会社も興味を示している。大規模コージェネレーションの契約に関する契約は、長期間に及ぶことが多く、英国のように規制緩和が行われている国にあっては、このような契約は、電力会社にとっても有利な契約になるためである。すなわち、電力の契約は1〜2年であるのに対し、コージェネレーションの導入のようなエネルギー・サービス契約は10〜15年の長期にわたるため、大口優良顧客を安定的に確保することにつながるからである。