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いずれの場合も節減額をESCOが保証し、この節減額が償還原資となる。米国では当初(イ)によるものが多かったが、このことはESCOの負債の増加による信用低下から、ESCOへの貸出金利の上昇を招き、結果顧客の取り分の減少にもつながった。こうした経験をふまえ、現在では(ア)の方式が一般的になっている。

また、資金の融資元としては銀行、リース会社などが一般的だが、この他、公的部門からの融資、公益事業者のDSMプログラム、税制上の優遇措置、顧客の自己資金、なども存在する。

 

イ 米欧における事例

 

ESCOは、オイルショックによるエネルギー価格の高騰を契機とし、1970年代末から1980年代初頭にかけて、米国において現れたとされる。以下では欧米におけるESCO事業の現状を概観する。

 

(ア) 米国

 

米国においては現在40〜50のESCOが存在しており、その投資額は1994年で4億5千万ドルとなっている。投資額は1989〜1994年で年平均25%と非常に高い伸びを示しており、これは公益事業者によるDSM入札プログラムが寄与したためとされる(ただし、1994年4月カリフォルニアにおける電力の規制緩和提案以降、公益事業者はDSM投資を凍結あるいはキャンセルしており、ESCO投資にも影響を与えるものとされる。また、規制緩和は同時に、エネルギー価格低下による省エネインセンティブの低下などの点でも、ESCOに影響を与えうるものとされる)。

投資対象を部門別に見ると、公共施設58%、商業施設32%、産業用9%と、公共施設に対する投資がもっとも多い。この理由としては、(ア)信頼度が高い、(イ)公共施設は老朽化した建物が多い、(ウ)(エンジニアなどの)エキスパートが少ない、ことなどが挙げられるとされる。また、公共施設の場合、予算制約により単年度での出資が困難なことが多く、これが省エネ投資を困難にしていたが、ESCO手法によりこの制約は緩和されたとされる。規模で見ると、ESCOが対象にするのは、月の電力料金が5千ドル以上の需要家で、一般的には5万〜10万ドルの需要家であるとされる。

 

 

 

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