しかし、本稿が対象とするCO2削減は、第3の対策レベルを実施しなくては減少に向かわせることができない最も解決が難しい課題とされているのである。
2 交通でのエネルギー消費
交通分野でのエネルギー消費量は、人間の諸活動が営まれている土地や建物がどのように空間的に配置され、それぞれがどの程度の密度で利用され、そして、これらを相互に結び付けている交通手段として、どのような種類が利用可能であり、利用されているのかによって、基本的には決定されていると言える。
そして基本的には、交通でのエネルギー消費の大小を決定しているこの配置と密度の結び付き方の間には相互関係が存在し、現在の先進国の間では、国や地域を越えた共通した関係が多く見られる。その主な関係を挙げると、以下のようである。
1]ある都市の人口密度とその都市の自動車の保有率の間には、負の相関が見られる。
2]都市の自動車の保有率と、その都市の交通で自動車が利用される割合、及び二輪車が利用される割合には正の相関が、そして公共交通機関が利用される割合、及び自転車や徒歩が利用される割合には負の相関が見られる。
3]1つの都市では、都心から郊外に向かって人口密度が低下し、人口密度の高い所の方が低い所より、一般には自動車の保有率が低い。
4]道路を整備すると自動車の利用量は増加する。特に現在混雑している場所ほど、この傾向が見られる。
こうした関係が存在するため、結果としての交通分野でのエネルギー消費量との間にも、いくつかの関係が見られる。その主要な関係を、次に見ていくことにする。