(2) 介護保険
ア 介護保険の概要 ―医療保険の介護版―
介護保険は医療保険の介護版であるが、介護保険制度で一番大きなところは「ケアマネジメント」という工程が入ったことではないだろうか。これは、日本で初めて1人の人に対してどれだけのサービスが必要なのかを計量する作業を組み入れた制度である。
また、サービス単価の意識、コスト意識が入ってくることにより、介護保険制度はこれまでの介護サービスの概念を根底から変える可能性を持つ施策である。
イ 介護保険の導入に伴い、起こりうるサービス供給面での変化
(ア) 行政関係(市町村等)
1] 2000年までにサービスの整備が間に合うか。「保険あって給付なし」にならないか?(民間サービスが普及するまでには時間がかかるため、当面は行政が責任を持つことになるだろう)
2] 要介護認定:認定方法の定着をどう図るか?
3] 軽度の障害を持つ人(寝たきり予備軍)カミサービスを受けにくくなる可能性?
4] 1割負担のため、サービス給付辞退者がでてくる?(「もったいない」などの理由から)
1]は、介護保険では民間活力の有効利用が期待されているが、都会でも民間サービスがある程度普及するまでに時間がかかると思われる。この間、当面は行政が責任を持ってサービス供給をチェックしなければならないであろう。
2]は、ケアサービス調査表を使用して調査員が調査する際に、マークする場所が1箇所ずれるだけで非常に差がでることがあるため、認定方法の定着をどのように図るかが問題になってくるという点である。
3]は、現場サイドで非常に大きな問題になっている。医療では、保険料を払っていて保険証を持って行けば必ず医者に診てもらえるが、介護保険では、介護が必要であると認定されなければサービスを全く受けることができない。