ア 「行政の役割はサービスを決めることであって、サービスを提供することではない」
民間委託を強力に推進すべきである。公の施設管理についても民間委託を可能とする方向で検討する必要があるのではないか。
民間委託を推進しようとすると、行政は完璧でなければならない(何か間違いがあってはいけない)という考え方に基づき、守秘義務や損害賠償などの制度的な問題が指摘される。自治省ほか各省庁や地方公共団体において、問題がわるから出来ないというのではなく、問題を解決して出来るように知恵を絞る方向での動きが出てくることを期待したい。
イ 「問題は公共対民間ではなく、競争対独占。」
競争入札をしない民間委託は無意味であり、独占を1カ所から1カ所へ移しただけとなる。例えば、福祉公社を創設し、そこへ委託したことのみをもって「民間委託の推進」と位置付けられるものではない。随意契約のように競争原理が働かない世界であれば、従来の独占状態に基づく非効率性などは変わらないものである。民間委託の推進に当たっては、この点についても配意が必要である。
ウ 「やり方ではなく目的のみを決めるべき。」
プロセスを重視せず、目的重視、成果管理を行うべきである。やり方というのは、それに一番詳しい人が考えればいいのであり、職場について一番優れた知識をもっているのは、そこで働いている人たちである。目的を与えられれば職員は自分たちでやり方を工夫して考え出すという理念が「Reinventing Government」である。
(3) 現在の行政改革
現在の地方行革は、端的に言ってしまえば財政難から始まったものであり、財政難を乗り切るには、事業の削減、場合によっては定員、人件費の削減が最も効果がある。事務の効率的な執行、行政の運営方法の改革というのは、それだけで財政難を乗り切るだけの力を持つものではない。
しかし、地方分権の時代を迎え、また現行の地方自治制度が出来て50年が経つ中、この地方行革の動きを単に事業量の削減などだけで終わらせてしまっては、21世紀を乗り切ることはできない。