行革を行うことにより職員のやる気を出させるのが進んだやり方であり、最も重要な点である。
ある市では、老人医療費無料となる基準年齢を65歳から69歳にまで引き上げようとしたが、これだけでは一方的な削減となるため、同時に幼児医療費無料の対象を2歳児から6歳児にまで拡大した。住民の理解を求めるよう努力して実施したところ、対象者数としては幼児の方が少ないこともあり、医療費削減に大いに貢献できたことがある。少子・高齢化社会において少子対応の部分に財源配分を重点化したものであるが、簡素・効率化だけでなく政策目標を明確に定めることで、職員のやる気を削ぐことなく行政改革を実施することができた例も存在する。
エ 「行革は自分でやるもの」
国や経済界がいくら強く行革を求めても、行革大綱という紙ができるだけで、真のことはできない。
何をおいても職員のやる気、意識改革が最も重要なものである。行革を行うことにより、職員自らの意識改革や業務の意義付けを再点検して、目指すべき目標を明確にした上で、それに向かって努力しようとする意欲を高めることができれば、その行革は成功と評価できるものである。
オ 「行政評価の導入」
三重県、静岡県など、行革にあわせて行政評価を導入する地方公共団体がでてきている。(三重県の行政改革については、後掲の「(4)三重県の行政改革の取組」を参照。)
行政評価が導入されて職員自らが事務事業評価表を作成することで、職員の意識改革を引き起こすとともに、この評価表を対外的に公表することで、行政と住民とが切磋琢磨しあう関係の構築に役立つことも期待されている。
(2) 「Reinventing Government」
「Reinventhg Government」(ジム・ウィルソン)はアメリカの地方公共団体の行革の例をもとに行革の考え方を提示しており、わが国の地方行政関係者にも広く読まれている書であるが、その中のいくつかを参照して地方行革のあり方について検討する。