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I. 運輸省としての考え方

 

ISMコードの強制化について

 

運輸省海上技術安全局

検査測度課長 北村正一

 

1. 運輸省の取り組み

 

ISMコードがSOLAS条約に基づき、本年7月から外航の旅客船、油タンカー等に強制化されることに伴い、運輸省はISMコードでいう「安全管理マニュアル」を船舶の設備の一つとして位置付け、ISMコードの検査を本年1月から船舶検査の一環として実施している。

なお、旅客船を除くISMコード適用船舶であって、NK船級船については、NKが行うISM検査を国が行ったものとみなし、国は検査を行わないこととしている。

 

2. ISMコードの意義

 

(1) 船舶の安全確保・環境保全のための総合的なシステム

ISMコードは、船舶の安全航行及び海洋環境保全を確実にするための安全管理システムの構築を安全管理を行う会社(いわゆる“COMPANY”。以下、「管理会社」という。)に義務づけている。コードでは、管理会社に対して1]安全及び環境の方針の確立、2]関係要員の責任、権限、相互関係の明確化、3]船舶の安全確保・環境保全に関係する業務(船員の配乗管理、関係要員の教育・訓練、緊急事態への準備、船舶の保守整備、船内の業務計画の策定、不適合の報告・解析、文書管理等)の手順の確立等を要求しており、ISMコードに従った安全管理システムは、まさに船舶の安全確保及び環境保全を確実にするための総合的なシステムである。

 

(2) 船舶の安全確保・環境保全のための生きたシステム

ISMコードに従った安全管理システムは、次のような仕組みとなっており、まさに船舶の安全確保・環境保全のための生きたシステムである。この意味で、従来のマニュアルとは大きく異なる。

a. ISMコードでは、不適合や事故又は危険状態が発生した場合の管理会社への報告、原因の調査、是正措置の実施の手順の確立を義務づけている。
従って、不具合が発生した場合、安全管理システムは常に改善される仕組みとなっている。また、強制規則(国内法、条約)の改正、設備の一部変更、設備の技術向上等に伴うシステムの変更は確実に行うことになっている。

b. コードでは、管理会社に内部監査(船舶の安全管理が、管理会社の構築した安全管理システムに従って有効に実施されていることを管理会社自身が検証する監査)を義務づけていることから、システムの有効な実施が自主的・定期的にチェックされるとともに、管理会社の判断により必要な場合はシステムの改善が行われる仕組みになっている。

 

 

 

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