2. 研究の目標
高度モニタリングの世界をどのように描くかによって研究の目標も異なってくる。図2に平成7年度の計画時点で検討されたものを示す。議論の結果、どのようなコンセプトを描くかも研究の目標となると判断された。
一方、本研究で対象とする高度モニタリングは実船計測と異なり「できるだけ簡単なセンシングシステム/データの多頻度自動収録と船上での迅速なデータ解析/状態判断と予測のシステム(陸装備)/デジタルデータベースでの船陸間通信」といった機能を併せもつことが望まれる。こうした機能に技術的にどう応えるかが研究目標となる。
要素研究は波浪/性能/構造の各分野にまたがるので、それぞれの分野の目標を下記においた。
1. 波浪〜船舶の波浪計化法を主として船舶の遭遇する波浪を特定する方法を提案する。
2. 性能〜実海域で推進性能に影響を与える諸要素を含めてデータの船上収録が自動的且つ迅速にできるシステムを開発する。さらに影響解析のできるシステムを開発する(陸装備)。
3. 構造〜従来型センシング(歪ゲージ)では耐久性等に限界があるので新しい先端的なセンシング法について提案する。さらに直接センシングの箇所を極小とし解析を援用した構造応答把握法を提案する。これらをおりこんだ船上データ自動収録・解析システムを開発する。
机上/実験室レベルだけの研究では評価に限界があるので、就航中の船舶にプロトタイプシステムを搭載しフィールドテストを実施することも計画された。その目標は、
4. フィールドテスト〜諸機能の総合的な検証と船陸通信のトライによるモニタリングシステムのブラッシュアップに反映させる。
以上の技術基盤と、それらをもとに「新しい船体高度モニタリングシステムを提案する」ことが本研究の目標となった。