材料定数は、模型艇に使用した材料の静的強度試験結果を用いた。艇体がガラスストランドの吹き付け加工によるため、等方性材料として取り扱った。
(iii) 荷重条件
大型模型艇の落下高さ9mからの垂直落下試験時の衝撃荷重計算値を用いた。船首加速度が最大、即ち、衝撃力が最大となる時点の水圧を分布荷重として与えた。
解析結果を図3.1(4)-2に示す。
船首加速度が最大となる時点の応力について解析結果と計測結果とを比較した。
(5) 艇体構造材料
a) 艇体材料
救命艇の艇体の材料として使用されているFRP材は、素材の組み合わせで任意の強度や剛性が得られ、加工性が良好であり複雑な形状の軽量構造物の製造に適している、更に、耐腐蝕性が良好であるという特長を有している。一方、金属に比較して強度は低く、弾性率も低いために変形し易く、衝撃強度が低いという短所がある。
本研究では、救命艇の艇体材料として用いられているFRP材について、素材と積層構成、試験方法、力学的特性に関する調査を行った。また、水槽試験に供した小型模型、及び実海面での模型試験に供した大型模型艇に用いた材料の強度試験を行った。
強化繊維としてガラス繊維とアラミド繊維、あるいはガラス繊維とカーボン繊維のハイブリッド繊維を強化材とする積層板のメリットが明らかにされた。
b) 大型模型艇の構造材料
大型模型実験では、艇体の衝撃強度、二次部材継ぎ手の強度を調べることを目的として、外板板厚は5〜8mmと意図的に薄く、二次部材継ぎ手の形状、積層数を左右舷で変える等の構造法が採用された。
大型模型実験の結果、二次継ぎ手部材の形状、積層数の違いの効果が認められた。また、船底パネルの歪の計測値から艇が大きく変形していることが分かり、衝撃水圧によるパネルの損傷が発生した。