テムにおけるCO2排出量等の抑制やエネルギー効率の向上を図ることが昨今の重大な課題になっているところである。フェリーは、こうした環境問題に対応する輸送手段として極めて有効なものとなっており、また労働力対策、災害時の代替輸送機関としても極めて重要な役割を果たしている。したがって、フェリー事業を規制緩和して他の輸送手段と同じ土俵の上で競い合わせることは好ましいが、それによってフェリーが競争から脱落し、輸送手段としての機能を失うようなことがあってはならない。そうならないためにも、フェリー事業者の自助努力を行政が支援する必要があると考えられる。
フェリー事業におけるコストの中には、事業者自身でコントロールできないものも多い。例えば、港湾利用費用や船舶検査費用はフェリー事業者の努力で下げることはできない。フェリー事業者は、この種のコスト費目の多いことがコスト削減をさまたげていると考えられている。そのため、フェリー船社では自社でコントロールできない費目の削減について行政の支援を望んでいるのである。
コスト削減努力の支援以外にも、健全な競争の維持やモーダルシフト促進等についても、行政の支援が必要と考えられる。表8-6は、規制緩和後の中・長距離フェリーの存続にとって必要として要望されている行政の支援をまとめたものである。