北海道航路の旅客利用は波動性が大きく、近年の航空運賃の引き下げにより旅客の航空利用が一般的となりつつある、一方、貨物需要は比較的安定しており、運賃や所要時間の点でも、他の輸送方式と十分対抗しうる競争力を有しているため、貨物輸送に焦点を合わせた形態を優先させることが考えられる。
2]北九州航路
北九州航路においては、旅客と貨物を同時に輸送する「従来型旅客フェリー」と「低コスト型旅客フェリー」及び「RoRo船」の適合性が高いと考えられる。瀬戸内海を航行ルートとするため、「超高速マイカーフェリ-」と「高速貨物フェリー」は導入がむずかしい。従来型の旅客フェリーから貨物フェリーへ転換する過渡的な形態として、「低コスト型旅客フェリー」も有望と考えられる。
3]中九州航路
中九州航路についても、瀬戸内海をルートとするため、超高速タイプのフェリーは導入がむずかしい。また、北九州に比べて、貨物流動量はやや少なくなるものの「RoRo船」の導入可能性はあると考えられる。九州の観光拠点であり九州内の拠点への玄関口ともいえる別府発着航路では、旅客利用に焦点を合わせた形態の適合性が高いと考えられる。そのため、旅客サービスをより充実させた「従来型旅客フェリー」あるいは定員をおさえた中・小型の「クルーズフェリー」も導入可能性を検討する必要がある。
4]南九州航路
南九州航路は外洋をルートとするため「高速貨物フェリー」の導入は可能であるが、南九州は消費地としての市場が小さいため、農水産品を近畿へ輸送するだけの片荷になりやすく、大型貨物フェリーの導入は慎重な検討が必要であろう。南九州航路は旅客の利用が多く(南九州出身者が近畿に多く居住しているため)、帰省需要が大きいため「低コスト旅客フェリー」も適合性が高いと考えられる。
5]四国(長距離)航路
四国航路のうち、運航距離が比較的長い愛媛及び高知航路については、旅客利用が多いこと、その中でも特に学生の利用が多いことなどから、「低コスト旅客フェリー」の適合性が高いと考えられる。また、瀬戸内海を航行する愛媛航路は「クルーズフェリー」の可能性も考えられる。高知航路は外洋を航行するため超高速フェリーの導入は可能であるが、旅客、貨物とも需要量が小さいので超高速に伴うコストの負担がむずかしいことや、超高速化することにより発着時刻が利用者のニーズに合わなくなるおそれがある。