近年の国内輸送を取り巻く環境は、長距離フェリー誕生当初とは大きく変化している。高速道路や本四架橋整備の進展のようにフェリー利用度を減少させる変化もあるが、その一方で排ガス規制の強化などフェリーの必要性を高める変化も生じている。現在、長距離フェリー運航事業者は13(22航路)と少数ではあるが、平成8年の輸送実績は、旅客輸送2086百万人キロ(シェア39%)、自動車航送1579百万台キロ(シェア66%)となっており、中・長距離フェリーは国内の旅客及び貨物輸送に欠くことのできない重要な輸送手段となっている。
2)フェリー事業における免許の法的性質
フェリー事業(旅客定期航路事業)における海上運送法上の「免許」は、「社会の利益に重大な関係のある事業につき、国家がその経営権を法律により一旦留保し、特定の者に与えるもの」と解され、法学上の「公企業の特許」に該当する。
「公企業の特許」においては、事業の公益的性質に鑑み、事業の経営が安定し、継続的な役務の供給が確保されるために、過度の競争により事業の経営の基盤がおびやかされることがな